ハワイが目指す持続可能な観光とは?各地で育まれる「マラマ」から考える
トロリーバスで敷地内の畑や養殖場を巡るアロハアイナツアーでは、ハワイの農業や人々の暮らしを学びつつ、実際にクアロア・ランチで収穫された農作物や魚介類などを試食することができる。マラマ体験ツアーでは更に踏み込み、ハワイの人々にとって重要な食物であるカロ(タロイモ)の植え付けや収穫などのアクティビティを通して、サステナビリティへの理解を深めていく。
このほか、クアロア・ランチでは、ハワイの自然や歴史を学べる総合的な施設として、教育旅行や企業研修などの団体も受け入れている。
ビショップ・ミュージアム-ハワイの自然と文化が集結した学びの拠点
ハワイの風土、歴史、動植物が様々な切り口で展示されるビショップ・ミュージアム。カメハメハ大王の子孫、バーニス・パウアヒ・ビショップ王女のコレクションを収蔵するために建てられたのが始まりで、現在では太平洋諸島の自然と文化を伝えるハワイ最大の博物館となっている。
ハワイで親しまれてきた植物を観察するガーデンツアー、火山活動のサイクルを学ぶツアー、伝統文化を体験するカルチャープログラムなど、テーマごとに興味を掘り下げる館内ツアーやアクティビティも充実している。※新型コロナウイルスの影響で一部プログラムは予約を中止している場合がある。
サスティナブル・コーストラインズ・ハワイ-誰もが楽しく気軽に参加できるビーチクリーン
ビショップ・ミュージアムの芝生エリアの一角に、「AIR Station」というプレハブの建物がある。ビーチクリーンなどの海洋環境保護に取り組むNPO団体「サスティナブル・コーストラインズ・ハワイ」が、海洋保護団体「PERLEY」の協力のもと、コミュニティハブとして活用する施設だ。
「AIR Station」のAIRは、「Avoid(避ける)」「Intercept(阻止する)」「Redesign(再設計する)」の頭文字と、「呼吸する」の意味を掛け合わせたもの。施設ではビーチクリーンで回収されたプラスチックごみをアップサイクルする装置を実演するほか、マイクロプラスチックを使ったアートの展示やワークショップも開催し、ハワイで起きている海洋問題の深刻さを伝えるとともに、再び自然と繋がることを意味する「Reconnect」の重要性を訴えている。
「ビーチクリーンは問題に対するリアクションであって、解決策ではない」と、団体の来迎(きむかい)秀紀さんは話す。プラスチックごみを極力アップサイクルし、最終的にはプラスチックの使用を止めていくことが目標だ。団体では海洋汚染の課題解決に向け、次世代への教育活動にも力を入れている。