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ハワイが目指す持続可能な観光とは?各地で育まれる「マラマ」から考える

  • 2022年5月25日

 観光が産業の重要な位置を占めるハワイでは、地域社会と観光の両立を目指し、いち早くレスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)を推進してきたが、コロナ禍を機にその気運は更に高まっている。ハワイ州観光局(HTJ)はこのほど、レスポンシブル・ツーリズムのハワイ版スローガンである「マラマ・ハワイ」をテーマとしたプレスツアーを実施。「マラマ」はハワイの言葉で「思いやりの心」を指す。これからの観光客に求められることは何か、各地で進められるサステナブルな取り組みから探った。

ハナウマ湾自然保護区

マラマ・マウナルア-外来種の藻を除去する「グレートフキ」プロジェクト

 「マラマ・マウナルア」は、オアフ島カハラエリア(ブラックポイント)からカワイホア(ポートロックポイ)までの南海岸線に位置する「マウナルアベイ」の保全活動を行うNPO団体だ。マウナルアベイの生態系は、外来種の動植物により深刻な影響を受けている。団体ではマウナルアベイリーフ修復プロジェクト「グレートフキ」プロジェクトに協力し、手作業での外来種の藻の除去活動を続けている。

 記者も藻の除去を体験した。マウナルアベイでは、外来種の藻がサンゴ礁を覆い、在来の生態系が必要とする養分や太陽光を奪っている状況にあるが、僅かながら固有種の藻も生息しているため、除去の際は1株1株確認しながら摘み取る必要がある。腰をかがめ、しっかりと力を入れて根元から引き抜いていく、非常に地道な作業だ。団体の活動ではボランティアの活躍も大きいという。

藻の除去はすべて手作業。回収した藻は食用にはできないため、肥料として学校などで使われる(写真提供:ハワイ州観光局)

 地元出身で、2014年から活動に参加しているアレックス・アウさんは、「自分達の住む場所を守りたい」という思いがモチベーションになっていると話す。団体では次世代の子どもたちに美しい海を残すことを今の世代の「クレアナ(ハワイ語で「責任」)」と捉え、イベントの開催や学校への訪問などを通して啓蒙活動を行っている。

アレックス・アウさん。パネル左が藻の除去前、右が1年かけて除去した後。団体では藻の除去前後の環境の変化も研究している。

ハナウマ湾自然保護区-環境を守るための値上げと予約制

 ハワイ王朝時代は神聖な場として特別な地位の人のみが立ち入りを許されていたハナウマ湾は、ホノルルからのアクセスも良好で、全米ベストビーチにも選ばれる人気スポットだ。一方で、早くから水質の悪化や生態系への影響が問題視され、1967年には海洋生物保護区に指定されている。その後も環境を守るための様々な対策が取られてきたが、パンデミックで観光客が途絶えて水質が改善したことを受け、その取り組みは更に加速している。

入場制限により、ハナウマ湾のビーチではほどよい距離が保たれている

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