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「伝統×最新技術」「SDGs」で進化を続けるフランス・パリ、観光再開に向け日本は重点市場

ルーヴル地区の老舗「サマリテーヌ」が再開、新規から定番まで変わらぬ「パリ」の吸引力

19世紀末から20世紀初頭の建築スタイルの面影を残して再開した「サマリテーヌ」。改装は日本の建築家ユニットSANAAによる

 2021年6月、16年にわたる休館から再開した老舗百貨店「サマリテーヌ」も、パリの話題のスポットだ。ポンヌフのそばに建つ創業1870年のこの店はアールデコ様式と鉄筋建築からなる建物だったが、現代の安全基準を満たす改装工事ため2005年に閉館。現在はシンボルの孔雀が描かれた天井画など、当時の面影を残しながら、新たな歴史を刻み始めている。店内には運営を行うLVMHグループのブランドを中心に約600のブティックやDFSが入り、免税手続きも可能。ショッピングがてらレストランやカフェの昼食利用もいいだろう。

 先に紹介した「ブルス・ド・コメルス コレクション・ピノー」やサマリテーヌはルーヴル美術館やチュイルリー公園、シテ島、マレ地区などパリ観光の人気スポットが徒歩圏内だ。歴史と現代が巧みに共存するパリらしいエリアの一つとして散策に組み込める。さらにTootBusなどの観光バスや、バトーパリジャンといったクルーズ船を利用したエッフェル塔や凱旋門、再建中のノートルダム寺院といった定番スポット巡りもツアーに彩を加えられる。

TootBusは乗り降り自由な定期ルートのほか、発着地やルートのオーダーメイドも可能

 今回紹介したスポットは、いずれも伝統と最新技術が巧みに融合し、さすが観光業先進国と唸らせられるものばかり。こうした観光開発の取り組みは、いずれインバウンドを再開する日本の観光業にもおおいに参考になるだろう。

 ウクライナ危機によるヨーロッパへの飛行時間の長時間化や航空運賃の高騰についてデクルー氏は「パリが日本人客を誘致する際のライバルは、ハワイやオーストラリアなど日本近郊の観光地となるかもしれない」と懸念を示すが、パリの吸引力は健在だ。「パリが常に旅行者に選ばれるデスティネーションであり続けることが、今現在の我々にとってのチャレンジだ。リピーターへのコアな情報も含めパリの発信を続け、旅行会社との連携を密にして観光客誘致を図りたい」とデクルー氏は意欲的に語っている。



日韓旅行会社を対象にパリ地方観光局の商談会を開催

商談会の様子

 ポストツアー中の24日には半日を利用して、日韓の旅行会社を対象にパリ地方観光局主催による商談会が開催された。

 日本からは旅行会社5社6名が、パリ地方のセラー側からはホテルや観光バス、アトラクションなど計34社が参加し、バイヤーのテーブルを巡りながら、各々のセールスポイントをアピール。今後のツアー造成に向け情報交換をおこなった。





取材協力:フランス観光開発機構、パリ地方観光局
取材:西尾知子