「伝統×最新技術」「SDGs」で進化を続けるフランス・パリ、観光再開に向け日本は重点市場
ルーヴルからレ・アール地区にも伝統×現代のスポットが誕生、温故知新の散策エリアに
パリの観光の中心地、ルーヴルからレ・アール地区にも伝統的な建造物を再利用した美術館やホテルが誕生している。
ひとつはコロナ禍中の2021年5月にレ・アール地区にオープンした美術館「ブルス・ド・コメルス コレクション・ピノー」だ。フランスの富豪フランソワ・ピノー氏が収集した現代アートを展示するための美術館で、元々は18世紀の穀物市場として建てられたものが19世紀に証券取引所に転用され、現在の美術館の名前に引き継がれている。
改装を手掛けたのは日本人建築家・安藤忠雄氏。建物は地下部分も含め5層からなる円筒型で、最上部の壁面には5大陸の寓意画が描かれている。ドーム型の天井窓から1階まではふんだんに陽光差し込む巨大な吹き抜けで、床に1点、2点と置かれたわずかな作品が「空間の贅」を感じさせる。インセンティブ利用も受け入れており、特別感や高級感を演出する素材として組み込んでみるのも面白い。
さらにこの美術館に続くルーヴル通りには1888年建造の元中央郵便局の建物を再利用した5つ星ホテル「マダム・レーヴ」が、2021年から営業を開始している。スイート2室を含む全82室で、パリの中心地にありながら、一見ホテルとわからない隠れ家的雰囲気が逆に高級感を醸す。内部は19世紀の伝統的スタイルと現代の機能性が上品に融合し、敷物などには昔の電報のデザインをあしらうなど、この地の歴史もさり気に取り入れられている。
屋上の庭園からはエッフェル塔などパリのランドマークが望めるほか、ソーラーパネルを設置し館内の電力を一部賄うなど、SDGsに則った要素も見られる。このコロナ禍明けやらぬなか、開業以来満室が続くという人気で、エコロジーなどに興味を持つ意識の高いFITなどには提案してみたい。
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