【デュッセルドルフ現地レポート】オミクロン拡大中の一時帰国、春を迎えたドイツの今
春を告げる旬の食材、シュパーゲルは青空市場で
ここからは5月のドイツの状況をレポートします。長くて暗い冬が終わりを告げる3月最終日曜日のサマータイム開始の頃から、徐々に春の風物詩であるシュパーゲル(白アスパラガス)がマーケットに登場し始めます。
冬の間地面の下でゆっくり成長を続けた白い宝石の収穫は全て手作業で、熟練技術が必要です。ロックダウンでほぼ鎖国状態だった2020年は、シュパーゲルの収穫のため東欧諸国の季節労働者に特別枠での入国を許可した程、この季節の食べ物は貴重な存在として扱われています。値段も一番取れは1キロ17ユーロ前後とかなり高価です。季節が終わる6月上旬くらいまでには半額程度まで下がりますが、やはり一番取れの味は格別。5月にドイツを訪れる機会があれば是非、旬のシュパーゲルを試されては如何でしょう。
典型的な食べ方は、500グラムほどを茹でたものに溶かしバターかホランデーズソースを選び、付け合わせに茹でた新じゃがとお好みにより燻製ハムや生ハム、小さ目のフィレステーキやシュニッツエル、魚のソテーなどを合わせます。我が家では天ぷらが定番ですが、日本食レストランのオーナーをされていたシェフに教えて頂いた食べ方で、小さ目に切り、芯が少し残る程度にさっと茹でた後すぐに氷水で十分に締め、ポン酢と鰹節をかけるのもお薦めです。
一番取れはマンハイム近郊の畑が有名ですが、今年はフランクフルトにほど近いSCHWETZINGENを訪ねてみました。中央駅にはシュパーゲルの銅像?があり、中心部にはオブジェまであるシュパーゲルの名産地。私の住むデュッセルドルフではまだこれからという時期でしたが、この街のマーケットには既に沢山出回っていました。
街の有名店でまずは定番のシュパーゲル500グラムに新じゃがとハムを付けたものを注文! ホランデーズソースと溶かしバターソースを両方つけて頂きました。ほかにも、FLAMKUCHEN(フラムクーヘン)と呼ばれるフランスのアルザス地方名物の薄くて軽いピザのようなもの(でもチーズもない全く別物)にシュパーゲルを小切にして乗せて焼いたものも注文。薄くてサクサクの生地に絶妙なシュパーゲルの歯ごたえとハムの塩気のハーモニーは後を引く美味しさで、これを食べにもう一度2時間半かけて出かけても良いと思える一品でした。お好みでビールを合わせても良し、白ワインを合わせても良し。個人的には白のGewurztraminerと合わせるのが好きです。スーパーマーケットでも扱っていますが、青空市場で買うのが季節感もありお勧めです。
近年は自動皮むき器なるものが登場し、その場で皮むきをしてくれるお店が増えました。切り取られた皮も茹でるときに一緒に使うため、申し出ると快く分けてもらえます。皮をむいた状態で真空パックになっているものもありますが料金は高め。やはり購入したその場で処理してもらうのが一番でしょう。
シュパーゲルと同時にマーケットに並ぶ路地物の苺もとても美味。新緑の5月のドイツは、クリスマスマーケットと共に街が飾り付けられた11月下旬からクリスマス直前の真冬のドイツと双璧の、ドイツが最も輝く季節ではないでしょうか。2年間のコロナ禍を超えての今年の春は一段と輝きを増し、人々の行き来が活発になってきました。
次回はドイツ人にとっての休暇の意味や娯楽について掘り下げてみたいと思います。ロマンティック街道やラインクルーズだけではないドイツの楽しみ方をご紹介していきますのでどうぞ宜しくお願い致します。
※本記事は5月10日時点の情報です。
1983年にドイツの日系旅行会社で働き始め、1985年よりJTBデュッセルドルフ支店に勤務。1993年の撤退まで主にアウトバウンド業務に携り、その後独立して日本人家族のための旅行の企画を主とした旅行会社を立ち上げました。現在は旅行関係の仕事からは離れていますが、長年住んで見えてきたドイツの素顔や現状をご紹介していきます。