「旅行需要が戻ると安心」という思考停止になってはいけない-RT Collection 柴田真人氏寄稿
個人ベースでいうと、このコロナ禍の2年で生活スタイルも変わりましたし、旅行業がストップしたことで、仕事へのモチベーションの低下や手取りの給料が下がりお金の面でのやりくりから生じるストレスが続いたと思います。そんな中、語弊を恐れずに言うと、このコロナ禍では個人としては二極化したと思っています。1つはコロナ禍でも会社に依存をした人、もう1つは会社に依存せずに個人として生き残れる力を身に付けようとした人または身に付けた人です。
私自身、5年後、10年後に今と同じ仕事をしているかといったら「していない」と思っていて、その危機感もあり、旅行業以外のことにチャレンジを続けています。コロナ禍で先のことなんて今は考えられないかもしれませんが、過去5年、10年で旅行業界や旅行者の行動が大きく変わってきたように、この先5年、10年でも大きく変わっていきます。それにより、旅行商品の内容や販売の仕方、旅行者の購買行動も必ず変わります。5年前に航空会社とホテルのサブスクができると思った人はごくわずかな人だと思いますが、今すでにそのサブスクサービスがあり、利用して旅行している人がいます。
もし新型コロナウィルスのような有事が再び発生し、旅行業が長期間できなくなったとしても会社に依存せず個人でも生き残っていけるのかどうか、それを個人ベースではしっかりと考えておいた方がよいでしょう。私の知り合いの1人に今回の新型コロナウィルスを経験し、旅行業だけでは将来不安なため、昨年行政書士の資格を取得して、今年開業予定の人がいます。個人としてのこういったアクションはとても大切だと改めて思いました。
おそらく旅行業界の人は、年内は個人として時間を作れる余裕がまだあると思います。旅行需要が本格的に戻るだろう来年は思うように自分の時間を作れない可能性が高いです。そのため、何か新しいことを始める、または他の業界や国家資格の勉強をするなら今年がラストチャンスと思って、時間がある今、すぐに始めましょう。旅行需要がもうすぐ戻るから安心、旅行需要が戻ったから安心という思考停止にならないようにすることが大切だといつも考えています。
もう一度言います。今年がラストチャンスです!
大学生時代にオーストラリアのタスマニア島で過ごし、旅行会社に就職。15年間の旅行会社勤務時代には主に東南アジア方面の仕入れや企画に従事。また、フィリピンでの5年7ヵ月間の海外赴任を通して、アウトソーシング事業の立ち上げからインバウンド事業における現地支店の立ち上げ及び日本マーケット初のチャーター便運航のプロジェクトなどを経験。その後、2018年に合同会社 RT Collectionを設立。