豪州、回復へ13年ぶり大型キャンペーン、「ワクワク大陸、いよいよ再開。」
オーストラリア政府観光局(TA)は4月8日、コロナ禍からのリカバリーに向けて重要市場と位置付ける日本で大型キャンペーンを開始した。「ワクワク大陸、いよいよ再開。」をタグラインとして新聞広告、交通広告、屋外広告、デジタル広告を組み合わせてオーストラリアの開国を周知するとともに、消費者のニーズに合致した体験がオーストラリアに揃っていることをアピールするもの。新聞広告も活用する大規模なキャンペーンは2009年の「体感するオーストラリア世界遺産」以来で約13年ぶり。
4月11日に開催した説明会でTA日本局長のデレック・ベインズ氏は、日本市場について2014年から6年連続で旅行者数が増加し2019年には約50万人となって出発国別で5位となった「最も重要な市場の一つ」と説明。「回復には2年程度はかかる」と見ているものの、昨年末に日本からの入国の受け入れを再開したところすでに20代の若者たちは動きはじめており、ワーキングホリデーの需要も高いという。
またベインズ氏はCCCマーケティングによる調査結果を引用し、今後行きたい場所のランキングでオーストラリアがコロナ前の15位から4位にまで上昇したことを紹介。さらに「海外旅行に求めるもの」の設問で自然や風景、リラックス、その土地ならではの食事や文化などが上位を占めているのに対し「このどれもがオーストラリアが自信を持って提供できるもの」との考えで、キャンペーンを通してそうした点もアピールし回復を加速させていく。
TAシニア・マーケティング・エグゼクティブの江原正恵氏によると、キャンペーンでは10種類の広告クリエイティブと動画を制作。「この2年以上、様々なストレスのもとで過ごしてきた日本の消費者にオーストラリアの雄大な自然、広い大地のなかでリラックスして旅行を楽しんでいただきたい」「より多くの方が海外旅行を検討する際にオーストラリアを選んでいただけるように」「フレンドリーなオージーが日本人観光客を歓迎していることも伝えたい」とった観点から、オーストラリアでのユニークな体験を画像とコピーで表現した広告ビジュアルを採用した。
特に重点テーマとして位置付ける「食、サステナビリティ、先住民文化」の3点を強調したという。また、コアターゲットはコロナ後の動きが早いと考えられる海外旅行のリピーターに設定している。
新聞は朝日、読売、日経の3紙に全面広告を出稿し約1470万世帯にリーチ。交通広告は東京の主要18駅と大阪の梅田駅で1週間掲示し850万人の接触を見込む。また、屋外広告も渋谷のスクランブル交差点や新宿、梅田に1週間掲示して延べ8000万人の通行が見込まれるという。さらに今後も状況を見ながら5月以降の適切なタイミングでデジタルを中心にキャンペーンの第2弾を展開する計画で、各州や旅行観光業界のパートナーと連携も模索する。
なお、TAではこのほかワーキングホリデーの需要喚起や旅行業界向けの活動にも力を注いでいるところ。ワーキングホリデーについては4月19日までに入国する対象者にビザ申請料をキャッシュバックするほか、1事業者での就労期間の上限を12月末まで撤廃するなどしており、受け入れ再開後に全世界合計で5.1万件以上のビザを発給している。
また、旅行業界向けではかねてから実施しているオージー・スペシャリスト・プログラム(ASP)のほか、11日からは全国5都市でレジャー、教育旅行、MICEのテーマ別に対面イベントを計13回開催。さらにトラベルビジョンの読者宛にニュースレターも毎月配信している。