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「テクノロジーを駆使してホスピタリティを提供」宿泊施設のオペレーション改革へ―アルメックス 坪井将之氏

コロナ禍で期待高まる宿泊施設のITソリューション
ホテルで培ったシステムを病院や外食産業にも

-アルメックスの事業におけるホテル、医療機関など各分野の比重はそれぞれどれくらいでしょう。

坪井 構成比は、ビジネスホテルとレジャーホテルのホテル分野で65%、医療機関分野で30%、その他外食産業などで5%となっています。

-レジャーホテルの市場はコロナ禍で縮小しているのですか。

坪井 コロナ禍の影響は、ビジネスホテルなどに比べれば小さいです。当社顧客のビジネスホテルもコロナ禍前に80%から90%だった稼働率が、30%から40%まで落ち込んでいます。一方のレジャーホテルの売り上げ減少は平均10%から20%程度に収まっています。レジャーホテル分野が縮小しているのは、コロナ禍の影響というより地震などの天災の影響や、補助金問題が大きいと思います。コロナ禍中に国からの補助や支援があった外食産業やホテル・旅館、病院に対して、レジャーホテルの事業者は補助や支援の対象外でした。法律に則った事業者であるにも関わらず、非対面サービスを提供しているため風俗関連事業者として登録されていることがネックになり、対象から外されています。

-事業承継の問題は?

坪井 それもあります。レジャーホテルの分野は、もはや家業として経営していくのは困難で、M&Aが活発になっておりチェーン化が進んでいます。強い経営者が率いる資本力があるグループが各施設を買収し巨大化する傾向にあります。

-レジャーホテルはコロナ禍による稼働率への影響が小さかったのですか。

坪井 レジャーホテルは稼働率ではなく回転率で勝負する業態です。回転率を上げて1日1部屋当たりの売上拡大がポイントです。その意味では、他人との密を回避でき安心できる相手とプライベートな空間を占有するレジャーホテルへの影響が少ないのも納得がいきます。もちろん蔓延防止等重点措置や緊急事態宣言の間は売上が下がったのは言うまでもありませんが。

-レジャーホテルにおけるインバウンドの比率は?

坪井 外国人にレジャーホテルを認識してもらうのはハードルが高く、マーケットのシェアは5%に満たないと思います。

-19年にグローバルOTAと提携してレジャーホテルの情報掲載を実現していますね。

坪井 弊社が運営するレジャーホテルの情報サイト「ハッピーホテル」をAPI連携してグローバルOTAに情報掲載しましたが、現在はコロナ禍もあって休止しています。我々が資金をつぎ込んでレジャーホテルを世界にアピールしたところで効果は知れています。それよりもレベニューシェアの方式でグローバルOTAと連携し、外国人旅行者に一度利用してもらえれば、次からは安心してレジャーホテルを利用いただけると考えました。

 レジャーホテルは2人1泊の料金としては割安で、部屋も広くジャグジーなどの設備も充実しています。実際に外国人にも好評だったのですが、コロナで取り組みが一旦頓挫してしまいました。

-国内最大のOTAとも連携しましたが成果は?

坪井 当初、レジャーホテルの掲載には乗り気でなかったのですが、直談判して分かっていただきました。交渉当時は民泊の違法事業者が少なくありませんでした。しかし、そうした民泊の情報は掲載されているにも関わらず、法律に則ってビジネスをしているレジャーホテルが掲載されていないのは納得できないと思い、説得を試みました。現状ではAPI連携ができていないので成果も限定的ですが、今後に期待しています。

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