地域に分け入るJAL社員たち~広島県編~

  • 2022年4月14日

「圧倒的顧客志向」をモットーに何度も訪れたくなる観光地を⽬指す

 客室乗務員や業務企画職など、幅広い職種の社員が各都道府県の自治体等に出向している日本航空(JAL)。シリーズ「地域に分け入るJAL社員たち」では、出向者と自治体の担当者、それぞれの目線で地域の魅力や課題、相互への期待などを語っていただくことを通して、ポストコロナに向けた地域創生を考えていく。

 2つのユネスコ世界遺産を擁し、国内だけでなく海外からも注目度の高い広島だが、リピーターの少なさが課題だった。広島県観光連盟(HIT)では、「1万人訪れる場所を100カ所作ろう」を合言葉に、新たなプロダクト開発に取り組んでいる。

昨年12月に広島空港で開催された「子供向け航空教室」の様子

広島県観光連盟

受入環境グループ 中田雅浩さん

オフィスからは原爆ドームや宮島が一望できます 1988年に旧日本エアシステムに入社。大阪空港支店(伊丹空港)にてカウンター業務、福岡支店にて旅行代理店セールス、本社にて座席管理業務・国内団体予約グループを経て2018年兵庫県豊岡市に出向。2020年からはHITで広島にお越しになるお客様の満足度向上を目指す「受入環境グループ」に所属し、県内のボランティアガイド団体のとりまとめや地域通訳案内士の育成業務、「観光地スマート化補助金」の事務局のお手伝いをしています。

昨年12月にはJAL広島支店、JALグループのジェイエアをはじめとした関係個所のご協力のもと、子供にもっと観光に興味をもってもらうために航空機を大阪から呼び寄せ、「子供向け観光講座・航空教室」を実施しました。

-住んでみて初めて知った地域の特色や、お薦めの観光素材はありますか。

 広島は瀬戸内海に面して、温暖な気候に恵まれ、自動車・造船を始めとした重工業が盛んというイメージでしたが、一県ですべてが完結できるほど農林水産業も盛んです。例えばレモンや柑橘類の栽培・生産は有名ですが、県の北部などの寒冷地ではリンゴの生産もされており、収穫高は全国で10位なんですよ。また、ヨーグルトが日本で初めて製産・販売されたのも広島ですし、お菓子メーカーの「カルビー」も広島が発祥です。そう考えると、とても奥が深いですね。

 個人的におすすめの観光素材は、瀬戸内海の「多島美(たとうび)」です。宮島の弥山(みせん)から見る多島美、三原市筆影山から見る多島美、尾道市千光寺公園から見る多島美など、それぞれ異なった多島美でどれも素晴らしいですね。

尾道市・千光寺公園からの多島美

 また広島のグルメといえばお好み焼きですが、これも県内各地区によって具材や焼き方が異なっており、食べ比べするのも面白いですね。

-出向して最も解決したいと感じた課題は何でしょうか。

 広島の観光地と言えば2つの世界遺産、平和記念公園(原爆ドーム)・宮島(嚴島神社)が有名です。コロナ前はインバウンドや修学旅行で多くのお客様がお越しになりましたが、リピーターのお客様が少ないことが課題でした。そのため、また訪れたいと思っていただける観光地づくりを目指しています。

 HITでは「100万人訪れる観光地を1つ作るのではなく、1万人訪れる場所を100カ所作ろう(ロングテール型プロダクト開発)」を合言葉に、日々新たなプロダクト開発に取り組んでいます。そのなかで、「美術館ナイトツアー」「木屋で牡蛎体験&クルーズ」「e-MTBで、瀬戸内360°ビューを山頂から堪能」など、さまざまな商品やアクティビティが続々と開発されています。

-今後の需要回復も見据えて、コロナ後はどのようなターゲットにどのような商品・素材を紹介していきたいですか。

 前述の通り、二大世界遺産のみならず、さまざまな商品やアクティビティが続々と開発されており、その魅力を発信していきたいです。ターゲットについては多岐にわたっていますので、そのターゲットに応じて、商品や素材を周知し、いろいろなお客様が何度も広島にお越しいただくことを目指していきたいですね。コロナ後も安心・安全にお越しいただくために、一部の観光施設・飲食店などは混雑度合いの見える化にも取り組んでいます。HITが運営する「ひろしま公式観光サイト(Dive! Hiroshima)」では、観光施設の混雑状況を随時更新しています。

 また、まさに今、世界平和が叫ばれている中、被爆地である広島の果たす役割は少なくないと考えています。是非広島にお越しいただき、平和記念公園や原爆ドームなどで、平和について思いを巡らせていただきたいですね。

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