「観光客は必ず戻る」差別化されたコンテンツをアフターコロナの原動力に―愛知県観光コンベンション局 武田光弘局長
ジブリパーク開園と大河ドラマ決定の追い風を受けて
武田 11月1日に開園するジブリパークは、日本が世界に誇るコンテンツです。ジブリ作品の世界観を表現できる唯一無二の公園施設として世界にアピールし「ジブリパークがある愛知県」をブランド化し国内外に発信していきます。
「風になって、遊ぼう。」はジブリが手掛ける初の観光動画ですから、ジブリ作品の世界観をきっちり動画で表現することに努めました。この動画は東京や大阪などのデジタルサイネージで配信します。そのほか海外向けの配信も考えており、どの国の人々に見てもらうかをターゲティングしたうえで、配信していくつもりです。
ジブリパークの開園で目指すのは、ジブリの世界観が好きだというファンを愛知県のファンにすること。そうしたファン層を徐々に広げ、深いつながりを築いていきたいと考えています。
武田 個人的には渥美半島をぜひ体験していただきたいです。名古屋から車で2時間半ほど。素朴なエリアですが、映画に出てくるような1970年代から80年代のカリフォルニアのコーストラインのような雰囲気があり、世界的サーフスポットもある海好きには最高の場所です。コーストラインの景観を楽しみ、メロン狩りや大アサリなども味わってみてください。
武田 先ほども言いましたが、未知の場所や人に惹かれる人間の本質は変わらないと思います。この大変な時期を我慢して乗り越えれば、必ず観光客、旅行需要は戻ってきます。東日本大震災当時はタヒチ観光局にいましたが、あの状況で日本人のタヒチ旅行など考えられず、一般のテレビCMさえ自粛されていて観光プロモーションができない状況でした。観光と災害の折り合いは難しい面がありますが、時間の長短はあっても観光需要は最終的に戻りました。むしろ心配なのは需要よりも観光産業を目指す人材がいなくなることです。観光産業を諦める若者にも、旅行・観光産業の方々にも「決して諦めないで」と言いたいと思います。
愛知県としては、ジブリパーク開園と「どうする家康」の放送を、愛知県の観光産業が1つの方向に向かうきっかけとしていきたいと考えています。コロナ禍後に世界中が旅行者誘致にスタートを切るなかで、他との差別化に成功できるかが勝負になりますが、ジブリパークは愛知県が一歩先んじる原動力になると期待しています。