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「痛みを伴う改革をした以上、絶対にやり遂げる」 名鉄観光サービス代表取締役社長 拝郷寿夫氏

構造改革と財務基盤固めに目途つく
22年の国内需要は19年以上を期待

-名鉄グループは、コロナ禍からの反転攻勢を目指す中期経営計画「Turn-Over 2023」に取り組んでいますが、名鉄観光サービスとして取り組んできた内容、これから取り組む施策を教えてくいださい。

拝郷 「Turn-Over 2023」は21年度から23年度までの3ヶ年計画で、事業構造改革と成長基盤構築を進める内容です。その初年度となる21年度は、まずはコロナ禍で毀損した会社の財務基盤の立て直しを徹底的に行いました。全国の支店・カウンターの再編を進め、全体の4分の1の22支店・カウンターを統廃合。規模縮小の上で移転した店舗や一部閉鎖した店舗もあります。

 要員の適正化も進め、希望退職の募集、グループ内外企業への出向、人員削減などを実施し、今春の新規採用も行いませんでした。その結果、21年度は人件費を約20億円削減できました。多くの社員の努力、協力のおかげであり、社長としては申し訳なく忸怩たる思いですが、痛みを伴う改革をした以上、絶対にやり遂げねばなりません。一定の目途が付いたストック面に続きフロー改善も図っていきます。

-現在グループ内外に出向中の社員の方々はいつ頃戻ってきますか。

拝郷 多くの社員の出向期間は1年から3年ですから、ちょうど需要が戻ってくるタイミングで戻ることになります。オミクロン株の感染拡大も収まりつつあり、春の修学旅行シーズンなど人の移動が活発化する頃には出向者が戻ってきます。それでも需要が本格的に戻れば人手不足の懸念は残ります。

-名鉄グループには旅行や観光と親和性ある企業が少なくありません。グループ各社との連携や協業はどうお考えですか。

拝郷 名鉄グループには各種サービス業や観光施設があり、これまでも連携して色々な商品を開発してきました。また地域社会が変化していくなかで、グループ全体の発展を通じて交流人口の拡大や沿線地域の活性化に貢献していく方針を掲げており、2020年にはグループ内に地域活性化を図るプロジェクトチーム「チームEMOTION」を立ち上げました。名鉄、電通名鉄コミュニケーションズ、名鉄観光サービスの3社が中心となって地域活性化に取り組んでいます。

 また今年4月1日には名鉄が組織改正し、地域活性化推進本部を立ち上げます。より本腰を入れて中部エリアの活性化に取り組もうという方針です。このなかで名鉄観光サービスは全国で蓄積してきた地域活性化ノウハウを提供し、プロジェクトの推進役を務めていきます。

 中部エリアには魅力的な観光素材が多く、これらを発掘、再生、創生していけるよう積極的に情報発信し、誘客への流れを作っていけたらと思います。21年度は名鉄沿線の西尾、犬山、岡崎、岐阜、半田、碧南、春日井の自治体と共に、観光庁「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」等の採択も受けました。

 SNSの活用にも力を入れています。例えば西尾市東幡豆町の無人島「前島」は、干潮時には歩いて島まで渡れるトンボロ現象を体験できる場所です。グランピング施設を作って1日1組限定で宿泊客を受け入れるようにし、SNSで発信したところ、大きな話題になりました。こうした新たな試みをグループ全体で進めていきます。

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