海外OTA・ホテル業界の将来は?ビジネストラベルの変化とは?-WiT JAPAN 2022
Hospitality Unravelled & Transformed
ホスピタリティ業界の変化に注目した「Hospitality Unravelled & Transformed」には、IHG・ANAホテルズグループ、ハイアット、ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツの3社が参加し、コロナ禍のホテル業界についてそれぞれ意見を述べた。各ブランドとも、コロナ禍に日本国内のホテル軒数を増やしているところ。IHG・ANA・ホテルズグループジャパン合同会社のアビジェイ・サンディリア氏は「日本は我々にとって3番目に大きい市場。日本が復興すれば需要も戻るだろう」と期待を示した。同グループは国内6ブランドで48ホテル(※2022年1月時点)を展開しており、2月には「ホテルインディゴ軽井沢」、3月には「ホテルインディゴ犬山有楽苑」を開業している。
日本ハイアットの坂村政彦氏も開業の延期などコロナの影響はあるとしながらも「ほぼオンスケジュールで進んでいる」とコメント。ハイアット ホテルズ アンド リゾーツは7ブランドで18のホテルを展開しており、今秋には「アンバウンド コレクション by Hyatt」ととして初のホテル「富士スピードウェイホテル」を静岡県に開業する予定。2024年はライフスタイルホテル「キャプション バイ ハイアット」を大阪に初導入する計画だ。
ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツの井上理氏は、16ブランドで国内60軒、韓国に1軒のホテルを展開していることを説明した。2018年以降はホテルの件数を増やすより質を高める戦略を取っており、19年以降は新規出店を一時中止する計画だったというが、コロナ禍で方針転換を決定。「事業拡大に攻勢をかけ、他社がオペレーションを断念した案件を積極的に取りに行って拡大しようと戦略を転換した」と説明した。同社では2021年、リブランドを含め12軒を新たに開業したところ。2022年も10軒契約しており、年内に15軒の開業をめざしているという。
また、セッションではサンディリア氏がホテルで開催されるイベントの将来について言及し、オンラインとオフラインのハイブリッドのイベントが増えるとの考えを示した。同氏は「日本でコロナの感染者数が減ったとき、コーポレートのイベントが大きく増え、19年レベルに戻ったところもあった」と振り返り、WiT JAPAN & North Asia 2022のような参加者を通常よりも増やせるハイブリッドのイベントの将来に対する期待を述べた。その上で「ホテルが準備すべきことはテクノロジー。今後ハイブリッドのイベントはコーポレートイベントやウェディングでも発生するだろう」と予測を語った。
さらに、セッションでは長期滞在やワーケーションについても議論がなされた。長期滞在については坂村氏が「以前はAirbnbのなかに埋もれていたが、パンデミック前から長期滞在の需要は増えており、ポテンシャルが非常にある」と期待を示し、「将来的には長期滞在にも道を開きたい」との考えを述べた。
ワーケーションについては井上氏がソラーレ ホテルズ アンド リゾーツの取り組みについて紹介。「ホテルのルームタイプ的に広い部屋がたくさんあるわけではない」ことや物件のオーナーとの兼ね合いもあり、ハードの投資を積極的にして需要の取り込みをはかるといった対策はしていない旨を説明した。同社ではワーケーション向けに長期滞在割引プランなどを提供しているが、井上氏は「市場サイズが大きくなると考えている人はそういないのでは、というのが正直な感想」と語った。