海外OTA・ホテル業界の将来は?ビジネストラベルの変化とは?-WiT JAPAN 2022

 1月中旬に2日間にわたって開催されたオンライン旅行業界の国際会議「WiT JAPAN & North Asia 2022」。先日は日本のOTAが登壇したセッションを紹介したが、会議では他にも海外のOTAやトラベルマネジメントカンパニー(TMC)、ホテルなど宿泊業関係者がそれぞれ業界の現状や今後について話し合った。そのなかでも今回は3つのセッションをピックアップしてお届けする。

Global OTAs, Looking In

(左上から横に)モデレーターのフーン氏、ブッキング・ドットコムのホールズワース氏、アゴダのヒューズ氏、エクスペディア・ホールディングスのダイクス氏
【パネリスト】
ブッキング・ドットコム アジア太平洋地域担当マネージング・ディレクター兼副社長 ローラ・ホールズワース氏
アゴダ コーポレート企画担当副社長 ティモシー・ヒューズ氏
エクスペディア・ホールディングス代表取締役マーケットマネージメント、北東アジア統括 マイケル・ダイクス氏
【モデレーター】
WiT創設者 イェオ・シュウ・フーン氏

 ブッキング・ドットコム、アゴダ、エクスペディア3社の代表が登壇した海外OTAのセッションでは、各社ともコロナ禍で消費者の旅行意欲が高いことをポジティブな点として挙げた。ブッキング・ドットコムのローラ・ホールズワース氏は、コロナの影響は大きいとしながらも、同社の調査結果として、日本の旅行者の74%が「旅はどんな休息やリラクゼーションよりも幸福(ウェルネス)に繋がる」と考えているという結果が出たことを紹介。「旅行者はまた旅行したがっている。国境閉鎖が解除されれば訪日客も復活する」と期待を語った。

 また、今後は日本市場においてサステナブルな旅行の重要が増える見通しを示し、「サステナブルをもっと旅行者に可視化するような形で展開していきたい」とコメント。このほか、すでに他国では始めている航空券の販売を日本でも開始したい考えを語り、「まだこれからだがロードマップ上にはある」と話した。

 エクスペディア・ホールディングスのマイケル・ダイクス氏も、旅行が消費者に重視されている旨を語るとともに、同ホールディングスのロイヤルティプログラム参加者が世界中に1億4500万人おり、先ごろ利便性を高めるためにロイヤルティプログラムを統合したことを説明。また、BtoB関連の組織を一本化し、エコシステムによりパートナー向けのサービスを強化したことも紹介し、「販売プログラムの最適化などにより、パートナーの皆様のビジネス向上に貢献するような技術の強化に取り組んだ」と振り返った。

 その上で今後注力したいこととして「テクノロジー・プラットフォームの活用」をあげ、旅行業から人材が流出する中、チャットボットを活用してコールセンターのサービスの負荷軽減をはかったことなどを紹介。「テクノロジーを使って人にかかる負荷を減らしたことで、よりしっかりとビジネスを走らせることができた」と話した。

 コロナにより国内旅行市場が活性化したことについては、アゴダのティモシー・ヒューズ氏がグローバルOTAの強みとして「1つの市場が駄目な時、例えば韓国が駄目な時は台湾、東南アジアのように動く市場に注意を向けることができる」ことを挙げた。

 さらに同氏はタイやシンガポールなどアジア市場が政府の入国規制やレストランの開業時間を短縮するなど厳しい規制をかける一方、援助が限定的である旨を語り、「政府は各国間での競争をしっかり認識し、観光や商業活動を推進できるようにしてほしい」と訴えた。このほか、今後力を入れたいこととして「多様性を優先したビジネス」をあげ、LGBTQ向けの商品をはじめ、継続的にいろいろな商材を用意していく考えを示した。