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地元に愛される老舗ホテル、支えるのは顧客との信頼関係と社員のアイデア―新潟東映ホテル取締役支配人 大倉善紀氏

  • 2022年2月24日

コロナ禍でも稼働率を維持
「まずはやってみる」でヒット商品生み出す

-地域住民にとってはホテルがコミュニティや文化のハブスポットとして機能していると見受けます。地元顧客とはどのようにコミュニケーションを図っていますか。

大倉 その意味で大きな存在は地元の方々で構成する会員組織です。新潟にもライオンズクラブやロータリークラブがありますが、その垣根を超えて、どちらの会員もが参加できる新潟東映ホテルのクラブ組織が3つあります。新潟東映クラブは地場の老舗企業の社長や地元議員などが会員です。新潟東映YMクラブは若手経済人が会員の中心で、新潟レディースクラブは主に社長夫人、医師夫人等の皆様が会員です。いずれも親睦と情報交換の集まりですが、3クラブとも結成目的として「新潟東映ホテルの発展のため」を掲げていただいており、本当にありがたいことです。

 そしてコロナ禍中も会員の方々が、プライベートでもご家族でお泊まりになられたり、お食事にご利用になられたり、沢山のご支援をいただいています。我々も会員特典をご用意して、ホテルを利用しやすいように工夫しています。

-コロナ禍の影響はいかがですか。

大倉 当ホテルに限らず市内のシティホテルは宴会部門が売り上げのほぼ半分を占めます。その宴会収入がコロナ禍前の10%から15%まで落ち込んでいる状態です。宿泊は稼働率50%から70%といったところです。

-この状況下ではかなり高い稼働率ですね。

大倉 新潟駅から徒歩5分、新潟空港から車で20分とアクセスが良好で、ビジネス利用も多いからです。ツイン・ダブルルームの割合が約3割で、シングルルームが多いのですが、もともと観光需要が少なくMICE開催時による宿泊需要の多い新潟の市場環境には適しています。平日はツインがなかなか埋まらない状況です。

-県民割の効果はいかがですか。

大倉 成果は出ています。遠方へ旅行ができないため、県内の方がショッピングを楽しむ目的で新潟市へ来て、ご家族やカップルで宿泊するケースも増えています。人気の「ステーキハウスあづま」の夕食付プランだと1泊1万8000円ほどですが、県民割を利用すれば5000円割引となり、地域クーポンも使えて割安感があり、利用客も増加しています。

-料飲部門についてはいかがですか。
「ステーキハウスあづま」のシェフ、庄司幸弘氏

大倉 料飲の評価が高いのも当ホテルの特徴で、宿泊者の喫食率が70%と高いのが強みです。2020年から朝食ブッフェに鉄板焼コーナーを設けて土・日限定で「ステーキハウスあづま」のステーキを提供したら、これが大好評。朝食ブッフェを食べるため、土・日の朝食付プランで宿泊する市内の方が増え、週末の稼働率が上昇しました。平日の主力であるビジネス客に好評を博しているのが新潟ブランド米「新之助」と新潟三大米どころのお米との食べ比べです。こうした朝食が人気を博し、楽天やじゃらんの朝食評価では高評価を維持しています。

 コロナ禍になり、テイクアウトや宅配のケータリングの販売を強化しました。2018年から「ステーキハウスあづまのステーキ弁当」を発売し始め、ご好評いただいていたのですが、2年前感染拡大でお客様の来店がなくなり、新しく「ステーキ重」を1万5000円で商品化したら大ヒット。2万6000円の「和牛ステーキ重」と合わせて月に50個から60個売れ、これまでに合計1000個ほど販売しました。また、開業60周年記念に開発したボリュームのある牛肉とトマトのうま味が特徴のレトルトカレー「ステーキハウスあづまのビーフカレー」も好評で、販路をスーパーや道の駅等に広げたこともあって月に100個から150個売れています。

 2021年12月は巣ごもり需要の高まりを予測して、以前から販売していた年末のおせち料理やケータリング料理「季節のオードブル」の販売強化を図り、月間売上の64%にあたる7000万円を売上ました。

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