令和4年度の観光庁関係予算決定概要を読んでみる-RT Collection 柴田真人氏寄稿
新年明けましておめでとうございます。皆さん、年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか。私は毎年都内にある愛宕神社に初詣に行くのですが、今回三が日を外して行ったものの参拝まで2時間以上並ぶほど混雑していました。明治神宮や浅草なども前年に比べると大幅に人出が増えていたそうです。
昨年末は新型コロナウィルスのオミクロン株の感染拡大や雇用調整助成金やGo Toトラベルの不正受給の報道など、観光業に逆風になる暗いニュースが続きました。新型コロナも3年目に突入しますが、2022年はウィズコロナの中でも観光業全体がポジティブに前進していける年になるように強く願っています。
第13回目のコラムでは、先日発表された令和4年度・観光庁関係予算決定概要について新規予算があったので見ていきたいと思います。令和4年度の観光庁の予算では、一般財源が141億5800万円で前年比96%となり若干減少、国際観光旅客税財源が80億9500万円で前年比31%となり大幅減少となり、合計222億円の予算にて決定しました。今回の予算決定では、一般財源の中で新規予算が割り当てられたものが2つ、また大幅に予算が上がったものが1つありました。
参考資料:観光庁「令和4年度・観光庁関係予算決定概要」
【新規に予算が割り当てられたもの】
・ポストコロナを見据えた新たなコンテンツ形成支援事業:4億4800万円(新規)
・持続可能な観光推進モデル事業:1億5000万円(新規)
【大幅に予算が上がったもの】
・新たなビジネス手法の導入による宿泊業を核とした観光産業の付加価値向上支援:5億5000万円(前年比548%)
新たに予算が割り当てられた分野と減少した分野
国内交流の回復・新たな交流市場の開拓の分野において、「ポストコロナを見据えた新たなコンテンツ形成支援事業」に対して4億4800万円の新規予算が割り当てられました。これは、地域が第2のふるさとづくりに取り組み、その地域との交流を通して中長期滞在者やリピーターの来訪者を増やすためにDMOや事業者、自治体等を支援するための予算となります。この新規予算には、交流人口市場を開拓していくことで関係人口に繋げていきたい意図があるのではないかと考えられます。
一方で、令和3年度では「新たな旅のスタイル促進事業」としてワーケーションやブレジャーの取り組みのための予算が5億400万円ありましたが、その予算は令和4年度では前年比64%の3億2500万円に減少しています。
交流拡大により豊かさを実感できる地域の実現の分野では、一般財源及び国際観光旅客税財源ともに予算が割り当てられていますが、国際観光旅客税財源に含まれているDMO体制整備事業やスノーリゾート形成促進事業、文化資源や国立公園を活用したインバウンドのための整備事業の全ての予算が大幅減少している一方、一般財源では「持続可能な観光推進モデル事業」として1億5000万円の新規予算が割り当てられました。この新規予算には、域内の個々の事業者の取り組みの促進や域内全体の持続可能な観光地経営ができる人材育成を通して、各地域のオーバーツーリーズムなどの観光公害を解決し、社会や環境への影響を考慮する観光にしていく意図があると思われます。
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