KL、日本就航70周年迎え未来志向の戦略加速へ「SAFへの投資継続」
KLMオランダ航空(KL)はこのほど日本就航70周年を迎えることを記念した会見をおこなった。会見の冒頭で挨拶をした駐日オランダ王国全権大使のペーター・ファンデル・フリート氏は「日本とオランダの(交流の)歴史は古く、1600年にオランダ船リーフデ号が大分県の黒島に漂着したことに始まり、350年は船で、その後の70年はKLが両国を結んでいる」と日本就航70周年を祝った。またKLはサステナブルな取り組みが最先端で「短距離の移動に鉄道を推奨した企業」と紹介。
会見ではエールフランス航空(AF)/KLMオランダ航空(KL)日本支社長のギヨーム・グラス氏が、KLの日本就航の歴史と今後の取り組みを説明。KLは1951年12月7日に東京(羽田)/アムステルダム間で初就航。当時は64時間かけ乗客6名、プレス18名でのフライトだったという。
サステナブルな取り組みも早く1990年に環境センターを開設。2011年にはSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)を搭載した商業フライト、2020年には合成ケロシンを利用した商業フライトをおこなっている。また近年「飛び恥」など一般的にも航空輸送に対する環境問題の意識も高まっており、グラス氏は「環境問題は切迫しており積極的に関わっていく」とコメント。CO2の排出量削減に向け「次世代航空機および航空産業への投資」「効率のよい運行オペレーション」「経済活動を通じたオフセット施策」「SAFの導入」などをおこなうことで、2030年までにCO2の排出量を2005年比でマイナス50%、2050年までにネットゼロの達成を目標にしている。
また、グラス氏は「コロナ禍で経営状況は厳しいがSAF事業は継続していく」として、アムステルダム港に建設されるSAF製造プラントへの投資や、企業の渡航由来のCO2を実質的に削減する「エールフランスKLMコーポレートSAFプログラム」の運用を開始する。同プログラムは、契約企業の出張に利用されるCO2排出量から算出されるSAF換算値の額を企業が支払い、AF/KLはSAF購入費用に充てるという仕組み。日本では現在4社が契約をしており、そのうち2社が旅行会社で旅工房とアルファインテルがパートナー契約をしている。
SAFの使用が航空券代金に影響するかどうかの質問にグラス氏は「SAFはこれまでの燃料に比べ約5倍のコストかかる」と述べ、航空会社だけで負担するのは難しく将来的には個人客向けSAFプログラムの運用の可能性があると見解を示した。旅行会社との関係については「ビジネス渡航よりもレジャーの回復が早いと予測しており、旅行会社とのインセンティブ契約も継続していく」と、これまでの関係は変わらないと強調した。