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インバウンドの消えた北海道、コロナ後に進むべき道は-北海道運輸局長 加藤進氏

観光関連事業者は補助金の活用を 
コロナ後はアドベンチャートラベルを大きな柱に

-今後の GoTo キャンペーンへの期待をお聞かせください。

加藤 昨年のGo Toトラベルに関しては、北海道は宿泊利用で全国1位、クーポン利用は全国2位でした。地域経済への波及も含めて効果は非常に高かったと考えています。特に北海道は夏場が最大のピークシーズンで、11月以降の冬場はオフシーズンです。雪まつりなどのイベントの縮小やインバウンドもないとなると、観光を支える手段としてGo Toトラベルを含めた割引支援の果たす役割は大きく、感染状況を十分に確認しながらですが、現場としては一刻も早く再開してほしいというのが率直な気持ちです。

-コロナ後、北海道はどのような観光地を目指して行くべきだとお考えですか。

加藤 コロナ禍を経て旅行に対する需要は高まっていると言われていますが、やはりコロナと共存するなかでの旅行となると、少人数で密を避けたいという傾向はあるでしょう。この状況で北海道のアドバンテージは大きいと考えています。また一方で、コロナ後も見据えた上で、観光のあり方を変えていかなければならないとも考えています。大きな方向性としては、人数だけでなく消費を増やす取り組みが必要です。

 そこには3つポイントがあると考えています。1つは、アドバンテージがある北海道の観光の質を更に高めていくこと。価値に見合う対価をいただける環境を作り、ブランド力を磨き上げていく必要があります。アドベンチャートラベルはその柱の1つになるでしょう。アドベンチャートラベルの顧客は地域の文化や歴史、自然にも関心が高く、そうした魅力もきちんと伝えていかなければ誘客はできません。こうした取り組みは地域の魅力の磨き上げにも繋がると期待しています。また、これからは持続可能な観光という考えの下で地域と共存できるような環境作りがますます大切になり、それが地域のブランド力にもなると考えています。

 2つ目は滞在型の観光スタイルに変えていくことです。長期滞在中に経験できるコンテンツの充実が求められています。これからは宿で囲い込むのではなく、いかに地域全体で受け入れ環境を作っていくかが重要です。ワーケーションもコワーキングスペースを設けるだけではなく、それ以外の時間をどう過ごすのかを含めた受け入れ体制が求められます。今年は、年末年始に海外旅行に行っていた人たちが北海道を訪れるという選択肢もあるでしょう。そうした方々のフィードバックも汲み上げ、地域づくりの参考にしてもらいたいと思います。

 3つ目はデジタル面での環境の整備です。特にインバウンドの旅行者や若い世代の人たちは、全てをスマホで済ませています。検索から予約、決済までスマホ1つで完結する環境を整えなくてはなりません。

 北海道では7空港が民営化され、空港間連携でのプロモーションなどができるようになりました。また、LCCも道東に就航し始めました。運輸局としてはこれらをきっかけに、二次交通をしっかりと確保していきたいと考えています。

-最後に観光産業従事者へメッセージをお願いいたします。

加藤 コロナ禍で外出できないとなったときに、移動や旅ができること、旅先で交流することは、人の暮らしに欠かせないものだと実感しました。観光は社会や生活を豊かにする役割を果たしています。

 だからこそ、今は大変な状況ですが、何とか乗り切って、観光で人々や地域を元気にしていきたい。また観光にはそうした力があるのだということを皆さんと共有しながら、地域を活性化し、日本の国づくりの柱にしていきたい。そういう気持ちで互いに取り組んでいけたらと思っています。

-ありがとうござました。