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ドラッグストア運営のノウハウを地域マーケティングへ活用-サツドラホールディングス 富山浩樹氏

  • 2021年12月1日

点ではなく面で捉えたビジネス展開で地域を活性化

-グループ会社ではインバウンドマーケティングに取り組まれていますが、この事業を始められた経緯や現状についてお聞かせください。

富山 インバウンド向けの店舗を運営しているからこそ、私どもには独自に得た経験やノウハウが蓄積されています。当時、インバウンドマーケティングは新しい分野だったので、多くの企業から、どのようにマーケティングを行っているのかお問い合わせをいただきました。

 一方、EZOCAを運営しているリージョナルマーケティングというグループ会社では、いち早くQRコード決済サービス事業にも取り組みました。実は、WeChatPayを展開するテンセントと日本で初めて業務提携したのは我々です。ここでBtoBとしてWeChatPayを提供していく中で、決済だけではなくマーケティングをどう行っていくかという課題を抱えている企業が多くありました。そこで2017年に子会社VISIT MARKETINGを設立し、サツドラで成功した事例などを他社に提供する事業をスタートしました。その後、VISIT MARKETINGはリージョナルマーケティングに吸収合併させ、シナジー効果を図れる体制とし、コロナ禍からの復活を図ろうとしている企業のSNSマーケティングなどで活躍しています。

-地域貢献に関する取り組みについてお聞かせください。

富山 地域との関わりの1つで、江差町と提携し「江差EZOCA」を作りました。江差EZOCAを使って買い物をすると、その金額の一部が江差町に還元されるという仕組みで、江差町の商工会にも参画いただき、全道のサツドラ店舗だけでなく地元商店街でもEZOCAを利用できるようになりました。

 これにより、現在江差町に住んでいる人だけではなく、今は町を離れている江差町出身者や、江差町に貢献したいと考えている人が全道のサツドラで江差EZOCAを使ってお買い物をすることで、江差町に貢献することができます。実際に、札幌や函館などでも江差EZOCAの会員が増えており、ふるさと納税のような感覚で、日常の買い物で地域に還元できる仕組みになっています。

 もう1つ、江差町とは「サツドラウォーク」という歩数計アプリを介した取組で関わっています。貯まったマイルは歩数計アプリとして町民の健康づくりに貢献できるだけでなく、歩けば歩くほどマイルが貯まり、貯まったマイルはEZOポイントに交換できるため、江差町の推奨アプリとしてもご活用いただいています。また、消費者行動のデータが取れるということで、今まで行政の取り組みでは可視化できなかった部分を私どもと協業することで可視化し、課題解決につなげられればと考えています。

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