ドラッグストア運営のノウハウを地域マーケティングへ活用-サツドラホールディングス 富山浩樹氏
点ではなく面で捉えたビジネス展開で地域を活性化
北海道を中心に200を超えるドラッグストアや調剤薬局を展開するサツドラホールディングス。道内の2.5人に1人が所有する北海道共通ポイントカード「EZOCA(エゾカ)」の運営、地域に関わるマーケティングなど、幅広いサービスを提供している。代表取締役社長兼CEOの富山浩樹氏にコロナ下での状況や今後の観光産業との協業について聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
富山浩樹氏(以下敬称略) 北海道でドラッグストアとして創業し、現在では調剤薬局を含め道内に約200店舗をチェーン展開しています。また「EZOCA(エゾカ)」という北海道共通ポイントカードも運営しており、会員数は道内に約200万人、道民の2.5人に1人が所有するカードとなり、おかげさまで地域に浸透してきました。2016年にホールディングス化し、私どもは「地域コネクティッドビジネス」と呼んでいますが、ドラッグストアという「点」だけではなく、地域に関わるヒト・モノ・コトをつなぐ「面」としてのビジネスに近年は取り組んでいます。
私自身は生まれも育ちも札幌で、前職では卸商社で福島や東京へ転勤しながら営業職としての経験を積んできました。その後、29歳で当社に入社し、2016年から代表を務めています。
富山 コロナ禍の影響は、プラス面とマイナス面の両方があります。プラス面では、特にコロナが流行り始めた頃は衛生用品やマスクのニーズが高まりました。また、当社では日用品や食品、酒類なども販売しており、これらの商品は巣ごもり需要で売れ行きが好調でした。これまでは複数の小売店で買い物をされていたお客様が、コロナ禍では1ヶ所で買い物をされるようになり、食品類も販売している当社のドラッグストア店舗を買い物先として選んでいただいていると感じています。
一方、主力商品であるヘルスとビューティのジャンルは、非常に大きな打撃を受けています。マスクをするのが当たり前の生活になり、これだけ予防しているとほとんど風邪をひきませんので、医薬品の売上が大幅に下がりました。ビューティの面でも、マスクをしているのでメイクの頻度が減り、メイク用品の売上が下がっています。
インバウンド向けの店舗では、立地や商品構成などでインバウンドに特化させたサービス展開を行なうなど、力を入れて取り組んでいました。売上構成比は約10%を占めていたためコロナ禍の打撃は非常に大きく、ここ1、2年で過去最多の閉店を経験しました。しかし、コロナ禍から復活した際に多くのお客様に来ていただけると見込んだ店舗は残しており、売上がなくなった中では固定費がかかり続けているので、利益面にも影響が出ています。
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