見直しが求められる日本型の商習慣、観光素材の仕入れの変化とは-JATAインターナショナル・ツーリズム・フォーラム2021
日本市場が取り残されないために変化が必要
現地サプライヤーとの密なコミュニケーションを
日本旅行業協会(JATA)はJATAインターナショナル・ツーリズム・フォーラムで、パネルディスカッション「往来再開後の仕入れの変化(レジャー・団体)」を開催。パネリストとしてマカオ政府観光局の榊原史博局長、ターキッシュエアラインズ(TK)の堀直美旅客営業本部長、ミキ・ツーリストの氏家淳取締役副社長が登壇し、モデレーターは日本旅行の高橋正浩執行役員グローバル戦略推進本部副本部長が務めた。
旅行会社のリスク負担が焦点に
航空仕入についてTKの堀本部長は「航空料金は需給バランスによって変動するものであり、需要がどう動くか見通せないなかで料金変動を予測することは難しい」としたうえで、航空座席の供給状況については、日本市場向けのグループ向け座席供給量はコロナ禍前から減少傾向にあり、コロナ禍後もこの傾向が続くとの見通しを示した。
堀本部長によれば日本市場のグループ向け航空座席の供給減は、主としてインバウンドの増加と販売チャネルの多様化に起因しており、とりわけ中国を筆頭に人口の多い新興国の需要増大が主因となっている。19年は日本人出国者数2000万人に対し、入国者は3200万人に達し単純計算で日本路線の供給座席の約6割が訪日外国人に占められている。
販売チャネルに関しては航空会社のオンラインセールスが増加傾向にあり「とくにコロナ禍で航空会社はウェブセールスを伸ばした。またOTAの台頭で旅行者が様々なチャネルで航空券を購入できるようになり旅行会社のグループ向けに割ける座席量が減少している」と説明。また「かつては航空会社の営業担当と旅行会社が協議して料金を決定していたが、現在はビッグデータを使ったレベニューコントロールが一般化し航空券が時価になったことも影響している」と付け加えた。
さらに日本市場においては「今後、リスクをだれが負うのかによって状況が変わっていく」と指摘。「日本以外ではデポジットが一般的だが、今後は日本でも旅行会社がリスクの半分をデポジットの形で負ったり、一定の消化率を約束する形でイーブンにリスクを負担したりするビジネスに変化していく図を描いていかねばならない」とした。
一方で「今後はグループがいらないという航空会社は一つもないはず。航空会社にとって重要なビジネスであり無くなることはない。旅行会社とは密にコミュニケーションを図り、旅行者を知る旅行会社からのフィードバックを受けて改善し、旅行者や旅行会社から選ばれる航空会社を目指さなくてはならない」とも述べた。
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