旅行業務に特化したコールセンターを手の届く価格でーツーリズムラボ代表取締役 古賀秀雄氏
「旅行会社に頼んで良かった」と言われるために
地域観光の活性化にも注力
ツーリズムラボが運営する「コールジャパン」は、旅行業務に特化したコールセンターサービスだ。同社の代表取締役CEOの古賀秀雄氏は、「海外旅行中の顧客への緊急対応は旅行会社の長年の課題だが、コスト面でのハードルが高かった」という。旅行会社が利用しやすい価格と高品質なサービスの両立を掲げる古賀氏に、事業の詳細や今後の展開について聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
古賀秀雄氏(以下敬称略) 日本交通公社の時代からJTBに勤め、27年在籍していました。はじめは熊本支店で法人営業や公務営業、MICEなどに携わり、その後JTBワールドバケーションズに異動。ルックJTBの造成オペレーションでオセアニア・南太平洋を6年間担当した後サイパンに赴任し、5年間現場のオペレーションに携わりました。
しかし外資ホテル予約サイトの台頭や日本の旅行産業のIT化、グローバル化の立ち遅れに不安を覚え、2012年に独立。業務系で各種手配書のウェブ処理システムを作り、ベータ版を大手数社に紹介しましたが、紙からウェブへの移行はまだ早いとの評価で断念しました。その後外資のホテルホールセールの日本代表を3社歴任し、システム運用やテクノロジーのグローバルレベルを知りました。また、これらのオペレーションの仕事ではコールセンターに関わるトラブルが非常に多く、かつそれを扱う会社が日本にないため、そこにビジネスの可能性を感じました。
社名は、「旅行業に止まらず広く『観光』の将来を考えること」でツーリズムラボとしました。現在スタッフは3名で、プロジェクトごとに得意分野で協力を仰ぐ方々は多数あります。
古賀 外資ホールセールの日本代表を辞めて「コールジャパン」を立ち上げようと思ったのが2019年です。準備を重ね、昨年3月にサービスリリースをしようとしたタイミングでコロナ禍に見舞われ、構想は凍結。今年10月にようやく旅行再開の兆しが見え始め、プレスリリースを配信しました。
旅行会社の現場の方々は、コールセンターの必要性を身に染みて理解されています。飛行機が飛ばない、ホテルに着いたら予約記録がない、送迎のミスミート、身に覚えのないホテルからの請求、病気や事故。旅行会社の担当者や役職者が持ち回りで携帯電話を持たされ、そこで解決できればいいですが、そうでないことも多い。安くない旅行費用を支払われたお客様が大変な目に遭っているところに満足のいくサポートを提供している旅行会社は少なく、これがビジネスのニーズと考えました。
前職の経験から、海外旅行のオペレーションの事情もわかっていました。24時間体制で社員を抱えることは難しい上、コロナ前の相場では、外注のコールセンターは安くて月額50万円から。英語対応やトラブルを解決に導くアシストを頼むと100万円を軽く超えます。トラブルゼロでも月額50万円は旅行業の収益構造からして払えません。合理的には月15万円と試算して起業しましたが、ポストコロナでは当面月額5万円が妥当と考えるに至りました。本格的な募集はこれからですが、業界の現状を知りたいという意図もあり、10月中旬に先行でJATA会員の一部にDMを送りました。想定はしていましたが、今のところ反応はありません。理由は様々考えられますが、海外旅行再開はまだ先だという考えや、5万円すら払えない状態ということもあるでしょう。特に海外旅行に関しては、多くの旅行会社のホームページでコンテンツが空っぽの状態で、状況の深刻さが見て取れます。
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