旅行業務に特化したコールセンターを手の届く価格でーツーリズムラボ代表取締役 古賀秀雄氏
「旅行会社に頼んで良かった」と言われるために
地域観光の活性化にも注力
古賀 練馬区でのツアーがなぜ注目されたのか、メディアの方に聞いてみると、コロナ下で明るい話題が欲しいという理由もありますが、地元でツアーを始めたということが新しくて面白いからだそうです。業界の人間からするとよくある話だと思っていましたが、外から見ると違うということです。
これまで地域観光は、企業がそれぞれのリゾートに誘客するためのマイクロツーリズムで、地域のことを考えてのものではありませんでした。そのなかで、農業の収穫体験や地元の方との会話など、地図を見て歩いているだけでは得られないホスピタリティを一緒に提供してほしい、ということを半年間お願いし続けて、ようやく訪問先の方々の了承を取り付けたのがこのツアーです。地域観光は仕込みに非常に時間がかかるうえ、ツアーは単価が安く、販売しても大きな金額にはならないため、旅行会社が手を付けてこなかった部分でした。また自治体の議事録等を見ても、設計図を描く人はいましたが、その先を担う事業者がいませんでした。今私が取り上げられているのはそれを実践したからでしょう。
自治体には素晴らしいコンテンツがたくさんあります。今後はアドバイザリー的な立場で、こうした動きを全国に広げていきたいと考えています。最終的にはオーバーツーリズムの解消のために地方に観光経済が分散し、それによって地域の方のシビックプライドも醸成されるといいですね。これは私のライフワークのようなものだと思っています。
古賀 コロナ禍で、地方や観光地の食の供給も深刻な影響を受けています。農林水産物を介したツーリズムを模索し、協力要請をいただく自治体も複数あります。旅行業単体ではできないことが多く、収益化の課題もありますが、旅行業は裾野が広く、地域を含めた協力で成り立つ経済活性も任務と考えなければならないでしょう。ありものの代売だけでなく、自ら付加価値を生み出して収益を確保する工夫をして、業界の未来をより良いものにしたいと思います。
古賀 特に組織に属されている方は、アイディアや構想があってもなかなか実行に移せない事情があると思いますが、観光産業はそんなことを言っている状況にありません。売るものがなければ作り、どうやって販路に乗せるかを考える必要があります。いつの日か必ず戻ってくる旅行需要に対して、円を描いて同じ位置に戻ってきたときに、螺旋のように1段上の段階で次のステージを迎えられるよう、それぞれが考えてもらいたいと思います。
旅行会社に関しては、大手も中堅も自前のシステムを持っていますが、今はコストを1/10に抑えることができる代替の手段があります。そして、これから先の顧客となるミレニアル世代とZ世代を取り込むために、テクノロジーやIT技術は不可欠です。そこをどう英断していけるかにかかっているのではないでしょうか。また、5年後にはインバウンドがこれまで以上に増え、かつて日本が東南アジアや中国で行っていたオペレーションと逆の事態が起こるでしょう。それに合わせた商売を考えていかなくてはなりません。
旅行は良いものです。旅の記憶は永遠で、あの世に持って行っていただける商品です。会社を存続させる目的だけではなく、業界の存続を考え、生き残っていただきたいと思います。もちろん身の処し方は自由です。できるお手伝い、ご相談は承ります。