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渋谷がアフターコロナで目指す観光とはー渋谷区観光協会事務局長 小池ひろよ氏

  • 2021年10月29日

全国観光協会・DMOサミットも企画
MICEの誘致やナイトタイムエコノミーの充実も

-コロナ禍での訪問者数は把握されていますか。

小池 渋谷区観光協会は観光協会ですが、旅行者や観光客だけではなく、働きに来ている人、住んでいる人、遊びに来る人も含めて来街者として見ているため、観光入込数ではカウントしていません。ただ、緊急事態宣言中に、あのスクランブル交差点を行き交う人がほとんどいない状況は衝撃的でした。逆に、直近の緊急事態宣言が解除された後は、戻りすぎと思えるほど人が増えています。

 周辺のホテルによると、2019年比で8割減という話を聞いています。相当辛い状況だと想像します。私は渋谷区在住で渋谷のホテルに泊まる機会はありませんが、こういうときだからこそ個人的に利用してみました。これから、近隣の住民が近くのホテルを利用するステイケーションも進めていきたいと思っています。

-コロナ禍のなか、新たに観光案内所「シブハチボックス(SHIBU HACHI BOX)」をオープンしました。

小池 渋谷駅前で長年「青ガエル」として親しまれた東急5000系車両モニュメントの跡地に2020年10月にオープンしました。インバウンド向けの観光案内所としてオープンしましたが、訪日客がゼロのなか、現在は渋谷に遊びに来た人向けに情報を提供しています。

 運営は、渋谷区観光協会、渋谷駅前エリアマネジメント、NTTドコモが行っています。アバターを通じた無人観光案内システム(現在はサービス終了)など斬新なアイデアも取り入れています。

-そのほかに、コロナ禍で取り組まれたことはありますか。

小池 観光DX推進の1つとして、「プラチナマップ」を使用したデジタル観光マップ「渋谷区デジタルマップ」を6月に公開しました。渋谷区観光協会が取りまとめて、発信してきた渋谷区の施設や飲食店舗などの観光情報と、現在発行している各地域の印刷物マップ情報を集約し、渋谷のローカル情報を提供しています。スポット登録の件数がまだ少ないので、徐々に増やしていきたいと考えています。またスタンプラリーやクーポン発行などの機能を活用し、商店会や街の方々、企業のプロモーション等にも今後は取り組みたいと考えています。

-アフターコロナを見据えた施策をお聞かせください。

小池 インバウンドは必ず戻ると思いますが、アフターコロナではビジネスユースの誘客にも注力し、渋谷MICE協会と協力して、50人から100人程度の国際会議の誘致などを進めていきたいと思っています。渋谷には大型ホテルだけでなく、「sequence MIYASHITA PARK」や「トランクホテル」などユニークなホテルもあります。新たな展望施設「渋谷SKY」も、法人向けの貸し切りで使えるのではないかと思っています。

 また、渋谷の特徴は欧米豪からの訪日客が多いことですが、その人たちが戻ってきたときのために、ナイトタイムエコノミーの充実も進めていきたいと考えています。

 さらに、駅周辺だけでなく、地域内連携で渋谷区内を回遊する仕掛けをつくっていきたいと思っています。駅を降りて、スクランブル交差点の写真を撮って終わりではなく、区内には楽しめる場所がまだまだ多くあります。もっと滞留時間を伸ばしていく施策を進めていく考えです。

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