【コラム】「お土産」での小さなイノベーション

  • 2021年10月18日

 最近、旅先の空港や駅にて、箱入りでは無くバラ売りされているお菓子を見かけたことは有りませんか?筆者の親は高齢かつ独居のため、旅先・出張先からなにか送ってあげたいと思っても、箱入りで結構な数が入ったものしか無く、同じものを多数送っても困らせるため、これまでは諦めることが多々有りました。しかし、最近は多様な(冷蔵物等も)ものが少量で買えるようになったため、その土地の銘菓や特産品の「オリジナル詰め合わせ」を作り、送るようにしています。

 高齢者に限らず一人暮らしの方はたくさん居られますし、人様に差し上げるものを出来れば自分も試食したいと思う方も少なからずいると思います。また、受け取る側も同じものを多数頂くよりも、送り手が吟味し選んでくれた多様なものを少しづつ頂くほうが嬉しいと感じる人も多く、喜んで貰えそうに思います。

 事業者から見ると販売効率は下がりますし、陳列も変えなくてはならない等の手間は増えますが、新商品の開発や宣伝広報に比べれば遥かに取り組みやすい「工夫」でしょうし、なによりお客様のニーズに寄り添うことで機会損失を減らし、売上増にも繋がるように感じます。

 「イノベーション」と言うと、大きな投資や時間をかけ斬新な商品・サービスを新たに開発することをイメージしがちですが、我々の足元にも「バラ売りお土産」のような潜在ニーズは有るはずです。当事者は逆に気が付きにくいものなので、お客様にお聞きするのが一番なのですが、それがむずかしい場合は、友人・知人でかつ顧客にもなり得る身近な人に手当り次第に話を聞いてみることから始めてみてはいかがでしょうか。そして、その中に実現可能なアイデアがあれば、とにかく直ぐに実行に移す「巧遅拙速に如かず」を肝に銘じたいと思います。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​