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アフターコロナはリアル旅行会社の人間力を強みに—日本ツアーサービス代表取締役 馬場謙志氏

  • 2021年10月13日

コロナ禍で団体大幅減も営業継続
オリパラ受け入れ業務は大きな財産に

-コロナによる需要減を受け、経費削減や新事業への取り組みなど、どのような対応をされていますか。

馬場 社員には交代で休んでもらい、雇用調整助成金を活用していますが、完全休業は行いませんでした。まず取り組んだのは、「コロナ対策、今できる営業」と称して社員全員でアイデアを持ち寄り、アウトプットすることでした。いわゆるアイデアフラッシュです。営業マンも手配課のスタッフも今できることは何かを真剣に考えました。

 また、逆に休まないことを顧客へのアピールポイントとし、訪問やオンラインで積極的に営業活動を行いました。具体的には、既存顧客・休眠顧客への訪問営業、SNSを利用しての個人客へのアプローチなどです。

 同業他社の多くが訪問営業を控えている中、新しい取引も始まりました。海外業務渡航については、出来る限り最新の渡航情報をご案内し、復活時にファーストチョイスになれるよう営業努力しています。

-オリンピック・パラリンピック関係の手配もされたと伺いましたが、今大会で特に気を配った点や、大会を終えての所感をお聞かせください。
パラリンピック・フランス陸上選手団の合宿にて(兵庫県三木市 三木防災公園陸上競技場)

馬場 元々、J1リーグ「ヴィッセル神戸」、女子バレーVリーグ「久光スプリングス」など、いくつかのプロチームの遠征手配を担当しており、スポーツ関連事業に力を入れてきました。その実績のお陰で、オリンピック・フランス柔道チームとパラリンピック・フランス陸上チームの事前合宿の受け入れ業務を担当させていただきました。見積もりを出し、入札、受注まで、業務量が膨大だったのですが、会社を休業せずにこの業務に日々注力できたことも大きかったと思います。

 最も大変だったのはやはり感染症対策でした。政府や自治体からの指針を元にバブル形式での滞在でしたが、窮屈な生活の中で、選手にいかにリラックスしてもらい、トレーニングに集中してもらう環境を作るかが課題でした。また、ホテルから移動、食事、グランドまで段取りが非常に幅広く、これまでの旅行の手配とは違うことが多い点にも苦労しました。

 終わった時に選手の皆さんから送られた感謝の言葉や寄せ書きは、弊社の宝物です。何よりこのコロナ禍の中、社員一丸でオリンピック、パラリンピックという事業に関われたことが大きな財産になりました。

-国内需要、海外需要はそれぞれいつ頃回復してくるとお考えですか。また、需要回復期に向けて取り組まれていることがありましたらお聞かせください。

 ワクチンパスポートの普及、行動制限の緩和に大いに期待しています。需要の回復に関しては感染者数とワクチン接種率次第となるのでしょうが、国内旅行に関しては、県民旅割等施策も始まりますので、個人旅行は11月頃から、団体旅行は来年2月頃からと見ています。

 海外旅行に関しては、ワクチンパスポートによって世界の国々との相互の規制緩和が進み、まずはビジネストリップが来年早々から始まることを期待しています。一般の海外旅行は来年の春から徐々に戻って来るのではと思っています。

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