企業と場、体験のマッチングで新しい旅の目的の実現からトラベル業界の活路を開く-PerkUP 浅生亜也氏

提供するのは箱ではなくチームビルディングができる場
「日常」をキーワードに働き方を考える

-事業のなかで最も重点を置いている目的は何でしょうか。

浅生 体験を通じて企業文化の醸成に役立てたり、成果や実績を上げていくためのきっかけとして体験を提供したい、というのが最大の目的です。

 合宿のような場で何か成果を出そうとするときは、個人のモチベーションよりもチームとしてのモチベーションが大事になると思っています。最初は乗り気でなくても、周りの雰囲気に押されて普段以上の集中力が出て、結果的にチームとして良い効果が生まれる、ということがありますよね。「co-workation.com」では、会議の合間に体験できる、遊びの要素も含んだアクティビティを用意しています。提供する場もただの箱ではなく、例えばキャンプファイヤーを囲むなど、記憶に残って共同作業もできる、チームビルディングに繋がるような場を選びます。必ずしもホテルや旅館だけでなく、キャンプ場やグランピング施設も含んでいます。

 今はサイトにコンテンツを載せているだけの状態ですが、これをベースに利用者の方に色々な使い方をしていただき、利用者視点の要素をプラットフォームとして機能実装をしていけば、さらに面白くなっていくのではないかと考えています。

-現在はサイトから自分の要望に合う素材を選んでいく方式だと思いますが、定型の商品が提案される方がいいという企業もありますか。

浅生 どちらのニーズもあると思っています。現在は提案型までは着手できていませんが、サイト開設当初からそうした声も耳にしているので、今後サイトには順次機能を追加していく予定です。また、研修の効果測定についても充実させていきたいと考えています。

-ホテルプロデュースも手掛けられていますが、PerkUPの事業との繋がりはあるのでしょうか。

浅生 2017年に立ち上げたSAVVY Collectiveという会社は、私にとっては2社目の起業でした。それまで長らくホテルの運営事業を手掛けてきたなかで、ホテルにとどまらず、ライフスタイルとホスピタリティの両方の領域で、豊かな日常で溢れる美しい日本を作りたいと考えて始めた事業です。

 私は、その地で暮らす人の日常が楽しそうな場所や日常が素敵な場所こそが、旅の目的地になると思っています。人が旅に出ようとするときは、テーマパークという明確な目的がある場合は別ですが、朝昼晩に何を食べているのか、どんな服装をしているのか、日々の習慣や日常に触れてみたいという思いで旅の目的地を選んでいくのではないでしょうか。ですから、日常がつまらなかったり、汚かったり、という土地に人は来ません。SAVVY Collectiveでは、日常を進化させることと、その日常にお客様を迎え入れるホテルの事業との2つをやろうとしています。

 一見バラバラなことをしているように見えるかもしれませんが、PerkUPのコワーケーション事業も根底では繋がっています。職場で仲間と楽しく過ごしながら知識やスキルが上がっていくことは、その人の日常を豊かにすること、日常の進化だと思っています。「日常」をキーワードに両側の事業をやっているというイメージですね。

-コワーケーションという言葉が出ましたが、オフサイトミーティングとの違いは何でしょうか。

浅生 ワーケーションは、「非日常空間で仕事をする」という意味で使われていると思います。私たちはそれを複数人で行うという意味でオフサイトミーティングと同義だと考えています。ところが日本では、オフサイトミーティングというと名前の通り「ミーティングをすること」が目的になりがちですよね。世界的に見るとコワーケーションは、「ワーケーションをしたい人たちが1ヶ所に集まり、新しい場を作り出すこと」を指します。そこで私たちは、「普段は社内で違う仕事をしている人たちが集まり、日常と違う空間で仕事をすること」をコワーケーションの定義としていす。必ずしもミーティングすることを指すわけではないので、合宿という言葉が一番近いのではないかと思います。

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