公認会計士が教える会計知識vol.7 資金繰りにも影響する? 会社にまつわる税金ーゼロベース代表 渡邊勇教氏寄稿
税金の計算方法をおさえる --- 法人税等 ---
ここで、税金計算の理解と言ってもそこまで深い理解は必要ありません。まず、【所得(≒税引前利益)が出ると発生する税金】の法人税等は、ざっくり以下のような税率で考えます。ポイントは、資本金が1億円を超えているか否かです。なお、本来は所得と税引前利益は異なる概念なのですが、ほぼ同一ですので、所得を税引前利益と思いながら読んでいただければと思います。
【パターン1】資本金が1億円以下のケース
・所得800万円まで 税率:約23%
・所得800万円超 税率:約35%
【パターン2】資本金が1億円超のケース
・所得0円から 税率:約35%
上記はあくまでもイメージだと思ってください。本来、所得に対する税率は、法定実効税率と呼ばれ、より詳細の計算式があります。大会社が減資による課税逃れを防止する観点から設立された、過去3年間の所得平均が15億円を超えるケースは、軽減税率が異なること、本店の場所や支店の数等によって計算結果が若干変動してきます。さらに一定規模の親会社の存在の有無によっても法定実効税率が異なってきますので、その点ご注意ください。
税金の計算方法をおさえる ---法人住民税(均等割)----
会社が赤字(=所得が0円を下回っている状態)でも発生する税金があります。それが、法人住民税の均等割、と呼ばれるものです。私たち個人が住民税を支払うのと同様に、法人も一人格と捉えて課税されます。そのルールに基づき発生する税金が、法人住民税(均等割)です。
なお、法人住民税は、所得に一定の税率を乗じて算定する税金(厳密には、法人税額に対して算定)と、今回の均等割の大きく分けて2種類から構成されています。
法人住民税(均等割)の課税金額は、1箇所につき5万円から300万円/年になります。課税金額は、資本金の金額、従業員数及び本店や支店がある場所(都道府県や市区町村)によって金額が異なってきます。東京都の例を参考にご紹介します。
法人住民税(均等割)は、テクニックで税額が増減することはなく、拠点が存在する限り発生する税金となります。
まとめ
・税金の支払いは国民の義務
・税金には、所得に応じてかかるもの以外にも種類がある
・法人税等のことを法定実効税率という
・法定実効税率は、所得800万円までが約23%、それ以上は約35%
・赤字でも税金はかかる、法人住民税(均等割)
次回は、消費税の計算方法と2023年10月よりスタートするインボイス制度についてご紹介を予定しています。
公認会計士。邊勇教公認会計士・税理士事務所、ゼロベース代表
北海道帯広市出身。立命館大学卒業後、監査法人トーマツに入所。2011年に公認会計士登録。その後、渡邊勇教公認会計士・税理士事務所(かぜよみ会計事務所)設立。2018年に業務改善や財務コンサルティング、他士業との連携サービスを提供するゼロベースを設立。また、渡邊勇教公認会計士・税理士事務所の代表しても法人・個人の各種確定申告などもおこなっている。