公認会計士が教える会計知識vol.7 資金繰りにも影響する? 会社にまつわる税金ーゼロベース代表 渡邊勇教氏寄稿

 公認会計士の渡邊勇教が、トラベルビジョン読者のみなさんに、ビジネスパーソンとして知っておいていただきたい会計に関する基礎知識を連載でお伝えする本コラム。7回目の今回のテーマは「税金」です。

 先日、私のクライアントと資金繰りをみていて驚いたことがあります。税引前利益が2000万円ほど出ているにも関わらず、手元キャッシュが期首から増加していた金額は、たった300万円でした。利益2000万円は発生主義(リンク)により計算されているため、入出金のタイミングとは多少のタイムラグがあります。しかし、2000万円が300万円となるほどのタイムラグがない業種の方でした。原因は、2つでした。1つが借入金の返済700万円があったこと。そしてもう1つは、中間納税で1000万円ほどあったことでした。

 このときに感じたのは、日本の税制はすごいということです。中間納税という名の、税金の前払い。早めに獲る・・・、違いました、納税は国民の義務です。

 そんな経験をしてふと改めて、会社に関して発生する税金にどういったものがあるのかをご紹介するのが良いのではと思い、今回は「税金」をテーマとさせていただきました。

会社にかかる税金の種類は?

 会社にかかる主な税金を箇条書きで紹介すると以下のようになります。

 ・法人税
 ・法人住民税
 ・法人事業税
 ・地方法人特別税
 ・消費税
 ・印紙税
 ・登録免許税
 ・固定資産税

 とても多い印象です。仕方がありません。国民の義務です。国のルールで必要とされる税金ですので、ここはグッと堪えていきましょう。

 ここで、税金の発生するパターン別に分けてみましょう。

【所得(≒税引前利益)が出ると発生する税金】
 ・法人税
 ・法人住民税
 ・法人事業税
 ・地方法人特別税
 ※これらを法人税等という

【契約書等の書類を作成・締結すると発生する税金】
 ・印紙税

【登記簿謄本の作成・変更等で発生する税金】
 ・登録免許税

【一定の固定資産金額を保有する場合に発生する税金】
 ・固定資産税

【法人が存在する限り(赤字でも)かかり続ける税金】
 ・法人住民税(均等割)

【その他】
 ・消費税

 パターン分けでみると次のようになっています。印紙税や登録免許税は、都度発生はするのですが、驚くほどかかることは稀です。多くのクライアントの資金繰りをみていて、資金繰りにクリティカルな影響を与える可能性があるのが、【所得(≒税引前利益)が出ると発生する税金】の法人税等と【その他】の消費税です。これらの発生金額を把握しておくことは、税金の理解だけではなく、資金繰りにも影響がありますので、ある程度の理解が必要かと思います。

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