観光で日本を支える気概を持った人材を育てたいーせとうち観光専門職短期大学 学長 青木義英氏

観光分野を学んだ人が業界で活躍し続けるための専門職短期大学
より本物に近いインターンシップでミスマッチを回避

-卒業生たちにはどのような活躍を期待していますか。

青木 企業のトップの意見や考え方と現場の声は当然異なりますが、卒業生たちにはトップの言うことをきちんと現場に伝えられる、そういう役目を担える者になってほしいです。上から言われたことを、そのまま下に言っても駄目。言われた内容を理解し消化したうえで現場が理解できる言葉に翻訳して伝える能力が必要です。

-観光専門職短期大学の学長として、観光産業に求めることは。

青木 観光とは、温泉へ行き風呂に入りうまい食事をして夜はカラオケをして楽しむ、単なる軟派な営みと考えがちです。しかし本来観光とは「国の光を観る」こと。旅先でそこが素晴らしい場所、迎えてくれたのが素敵な人々だと感じ、帰った後も「あそこは良い所だった」と振り返り再度訪れてくれる、これが観光の持つ力です。ソフトパワーで国や地域を売り出せるのが観光の良い点です。インバウンドが重要なのは、それで旅行者の量を稼げるからではなく、訪れた外国人たちに日本の国を理解してもらえるからです。観光産業界もそこに軸足を置いて取り組んでほしい。もう一度軸足の位置を正して、観光について見つめ直してほしいと思います。

-今後の産官学連携についてどう考えますか。

青木 それがなければ本校の存在意義はないと思います。観光を学問的に考えると、学際的な分野であるだけに専門的に絞り込んだエキスパートはそれほど多くはありません。となると実業界の人材を観光学の中に呼び込んでいかねばなりません。ですから「産」、つまり実業界の方々には、後輩を育てていくような企業風土を育ててほしい。また「官」については、単に補助金を出すのみではなく、本質を捉えて補助すべきは補助することを心掛けていただきたいと思います。

-最後に、観光分野での活躍を夢見て学ぶ学生たちにメッセージをお願いいたします。

青木 観光は面白い。まずその点に気づいて欲しいです。この先、おそらくコロナの治療薬が開発されると思います。すると観光は大変に面白いことになるでしょう。産業として自動車産業を超えていくと思われます。そのとき「自分は観光で日本を支えてやろう」と奮起できる人材が、観光分野を学ぶ者の中に数多くいることを願っています。また観光は単に軟派な営みなどではなく、この国を支えるものだと分かってください。これから観光分野を学ぼうという方々に対しては、そうした気概を持って観光について学びに来ていただきたいと思います。

-ありがとうございました。