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コロナ禍中も力を入れる国内ホテル展開-ミナシア代表取締役社長 下嶋一義氏

ホテル単体ではなく地域の特色を取り込んだブランディングを目指す

-トップとして力を入れている部分はどんなところですか。

下嶋 ブランディングとマーケティングです。ブランディングは、自分たちがどういう存在なのか、何をもって競争優位を築くかという点を明確にしない限り顧客に浸透しません。代表取締役に就任して以降、「我々はこういうブランドになる」という点を徹底しました。

 ブランドコンセプトを象徴する取り組みも育っています。たとえば8月から全国7ホテルで発売した「宿弁(やどべん)」です。ホテルが立地する地元の名産や厳選食材を使用する弁当を開発しました。我々のブランドの核はホテル単体で形作るものではなく、地域との連携や地域の特色を取り込んで形作っていくのだ、というコンセプトを明確にする取り組みとして「宿弁」は象徴的です。

 サービスについては私が関わる以前から高い評価を受けており、定評あるアットホームなサービスを確固たるものにしていきます。

-明確化したブランドを発信する方法は何か工夫がありますか。

下嶋 発信の前に情報のネタ集めが必要です。そこで各ホテルの支配人からホテルや地域のネタを集める仕組みとして「おらが町プロジェクト」を9月にスタートしました。地域の観光情報、イベント情報、「宿弁」情報などをサイトで発信すると同時に、これら情報を元に宿泊プラン化することも考えます。ゆくゆくはDMOや自治体とも連携していければと思います。

-具体的にはどのような情報が集まりますか。

下嶋 支配人会議の情報を元に、たとえば名古屋のホテルで地元製菓会社が販売している「クッピーラムネ」を宿泊客に配り話題を集めました。昔から地元の子供たちが駄菓子屋で楽しんできたというストーリーも紹介することで、ホテルへの親しみが増していると思います。最終的には地元にもより多くお金が落ちる形を作り、地域と共にホテルの魅力をアップしていきます。

-ホテルの宿泊客の消費がホテル内だけで終わらず地域に還元される形を目指そうというわけですね。

下嶋 ホテルを選ぶ理由が料金だけというのは好ましくない。ハードやサービスだけでは差別化は困難で、単なるビジネスホテルでは生き残りが難しくなっています。SDGsやESG投資への関心の高まりもあり、環境や持続可能性に敏感な人たちが増えています。我々のホテルを選択することが地域貢献や環境に優しいライフスタイルにつながるとなれば大きなアドバンテージになります。

-コロナ禍にもかかわらず、博多や高松で新ホテル開業を予定していますが、どのような観点で新規出店を決めているのですか。

下嶋 我々の強みは地方都市でのホテル展開です。稼働率もそうです。コロナ禍でも地方店舗はそれほど落ちていません。工場の現場は動いているためビジネス需要は安定しており、アットホームなサービスが顧客層にマッチしリピーターが多いことも理由です。

 一方で都市部のビジネス需要はリモートワークが普及したため、需要が以前のレベルに完全に回復することはないでしょう。しかしライフスタイルや働き方の価値が変化したことで新たな需要が生まれるはずです。ワーケーションの普及でリゾートホテルは夏休みへの需要集中が弱まり、工夫次第で通年の誘客ができると期待しています。その意味では今後、リゾート型ホテルが面白そうです。

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