若手の観光リーダー育成で新プロジェクト-TABIPPO代表取締役の清水直哉氏
旅を日本に根付く文化に
他業種からの若手参入で業界に新たな風を
若者をターゲットにしたwebメディア「TABIPPO.NET」をはじめ、イベント開催や人材教育、マーケティングなど幅広い事業を展開するTABIPPO。6月19日からは観光業を担う次世代リーダーを育成するオンラインスクール「POOLO NEXT」を開講する。同社代表取締役の清水直哉氏に、TABIPPOが取り組む若者の旅行振興や人材育成などへの思いについて、話を聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
清水直哉氏(以下敬称略) およそ11年前、大学生時代にバックパッカーとして世界一周旅行をしました。大学ではサッカー部で、週6日はグランドにいる生活を送っていましたが、旅行ではじめて広い世界を見て「旅ってすごく良いものだな」と思い、旅にはまりました。
一方、周りの大学生や若い人で旅行している人はそれほどいないと感じていました。旅先で出会った人たちとそういう話をするなか「帰国後に旅を広める何かをやろう」と考えたのが最初のきっかけです。そして2010年、22歳の時に学生団体としてTABIPPOを設立しました。
学生時代はイベントの開催やブログ、当時急成長していたTwitterなどSNSでの情報発信をしていました。卒業後はインターネット広告代理店に入社し、ボランティアとしてTABIPPOに関わっていましたが、出版社から本を出そうというお声がかかるなどいろいろな話が持ち上がってきたことを契機に、2014年、26歳のときに株式会社化しました。
立ち上げ当初から言い続けているのは「旅を広めたい」ということ。僕たちの理念は「旅で世界を、もっと素敵に。」です。今はSDGs(持続可能な開発目標)とツーリズムの関係の話が出てきていますが、会社の設立当初から、世の中の教育や貧困など、さまざまな問題を解決するアプローチが旅を広めることだと考えていました。
会社のミッションは「若者が旅をする文化を創る」。僕達も若い時に旅をさせてもらってすごく感謝しているので、若い人に旅に行ってもらうことを誰かがやらなければという思いがありました。そのため、20代から30代前半くらいの若者、いわゆるミレニアルズを意識して事業を展開しています。
清水 起業前に出版した本の印税などを設立資金として会社を始め、設立当初から今に至るまでずっと自己資本で会社を運営しています。創業当時から「上場しない」「会社は売らない」と決め、ビジョンを大事にしてきました。自分たちでできる限り運転資金を負担することで、チャレンジしやすい環境にすることを意識しています。そういう意味では世の中のスタートアップの文脈から少し外れていると思います。
あまり一気に成長しなくていい分、「旅」という日本に根付く文化をじっくり作っていこうと考えています。50年から100年のスパンを見据えて、どれだけしっかり根付くかを意識して活動しており、そこは大事にしていきたいです。