若手の観光リーダー育成で新プロジェクト-TABIPPO代表取締役の清水直哉氏
旅を日本に根付く文化に
他業種からの若手参入で業界に新たな風を
清水 6月から、2030年の観光業界を担う次世代リーダー養成のためのオンラインスクール「POOLO NEXT」を開講します。もともとTABIPPOでは2019年から、ハワイ州観光局(HTJ)と旅を切り口にした次世代のグローバル人材育成スクール「POOLO」を開始しており、好評です。それに続く「POOLO NEXT」では、20代から30代で、観光の領域でチャレンジできる次世代リーダーの育成をめざします。
コロナからの観光復興をどうするかですが、僕らは誰もが豊かに旅できる時代に復興させたいと思っています。ですが、そのために必要な次世代の観光業界を担うリーダーがとにかく不足しています。このため、今人材を育てないと間に合わないという思いから「POOLO NEXT」を立ち上げました。
僕たちのイメージする次世代リーダーは、例えば星野リゾート代表の星野佳路さんのように、影響力を持つ人のこと。ああいう方を20代、30代で作っていかなければと思っています。ITのスタートアップではそういう人はたくさんいますが、旅行業界でも増やしていかなければと思います。
また、このタイミングだからこそ観光業界外からいろんな人に業界に入ってきてほしいと思っています。今は厳しい状況ですが、観光産業は10年後には需要も戻り、50年後にはもっと大きな産業になっているでしょう。今の旅行業界はビジネスチャンスがすごくある、面白い状態にあります。他業界からスキルをお持ちの方がどんどん参入してくれることはとても大切だと思っています。
「POOLO NEXT」では6月16日まで参加者を募集しています。定員は50名ですが、応募は200名ほど来ています。ただ、参加費は30万円とそんなに安くないですし、本気の人だけ集めたいと思っているので、現時点で参加されるのは約20名から30名くらいとみています。最終的には50名まで増やしたいです。
カリキュラムは6月19日から12月4日までで、講義が2週間に1回あります。講師は観光業界で活躍しており、机上の空論ではなく生々しい話をしていただける方々。講義を受けつつ、僕たちが作ったフレームワークシートに基づいて各人が本気で実現したいビジネスを考え、最終的にはビジネスの立ち上げまでしようと考えています。1人でやることは難しいので、コミュニティで学習を加速させ、メンターにサポートしてもらいます。半年後に良いビジネスが数十個生まれるのでは、と期待しながら進めているところです。
清水 観光業界は年齢層が高い業界だと思っています。年齢の高い方々を否定しているわけではありませんが、なぜ若い人たちのリーダーが出てこないのか、生まれなかったのかを皆で疑問視していきたいですね。また、女性も少ないのでどうにかしたいという思いはあります。
僕のように20代の時に観光領域で起業した人はそこまで多くないので寂しく思いますし、10年後に次世代のリーダーが活躍していなかったらどうしようという懸念があります。40代、50代の方は、若手に「POOLO NEXTに参加して勉強してこい」と送り出していただきたいと思います。出る杭を打つのではなく、業界を皆でエンパワーメントしていかないと、10年、20年後にまた危険な状態に戻るのではないでしょうか。
また、ANAホールディングスさんが事務局を務める「旅と学びの協議会」に参加していますが、とても面白い取り組みだと思っています。協議会には全日空(NH)や地球の歩き方から学校法人、広告会社まで参加しています。飲食店も観光と紐づいていますし、いろいろなところと観光はかかわっています。このタイミングで少しずつ、観光業界の意識が広がっていくといいなと思っています。