【京都ホテルミニインタビュー】第4弾「地に足の着いた強みの積み上げを」ベッセルホテルカンパーナ京都五条 支配人 佐藤大和氏
京都ホテルミニインタビュー第4弾は、コロナ禍によりホテルの持つ強みが顕在化されたというベッセルホテルカンパーナ京都五条の佐藤大和支配人。ホテル事業の枠にとらわれず次々と打ち出している施策について聞いた。
第1弾 エースホテル京都 上席総支配人 飯田雄介氏
第2弾 ホテルグレイスリー京都三条 支配人大出健史氏
第3弾 ホテル カンラ 京都 運営統括責任者 友岡大輔氏
佐藤大和氏(以下敬称略) 緊急事態宣言が出たことにより、4月29日から5月5日の予約のうち約40%がキャンセルとなりました。マイクロツーリズムが浸透した効果で奈良・大阪・兵庫のお客様も増えたのですが、宣言発出後に販売価格が下落したことから予約の取り直しなどもあり、価格競争になってしまった面も否めません。
とはいえ、大浴場とサウナ、ビュッフェは感染予防を徹底したうえで営業を継続していますので、「ゆっくりしたいな」と思われている地元の方に魅力を感じていただけたのではと考えています。特にサウナについては、15度という水風呂の温度設定、サイレントサウナであること、女性用サウナもあること、サウナ内のマットやロッカーを減らし間引き対策を徹底していることなどで評価をいただいています。
佐藤 朝食自慢の宿としておばんざいなどを提供しており、以前は年配の方のご利用が多かったのですが、最近では若いご家族が増えました。もともと当ホテルは18歳以下のお子様の添い寝を無料としているのですが、マイクロツーリズムが始まったことで近隣の方が地元のホテルを検索された結果、家族連れのお客様が選んでくださるようになったのではないかと考えています。また、テレワーク目的でのデイユース利用も増えました。家族利用や1人利用のリピーターも多くいらっしゃいます。
佐藤 大きいところでは、以前は外注委託だったハウスキーパー業務を今年2月から内製化しました。また、レストランスタッフが大浴場の清掃を行ったり、フロントスタッフが朝食の洗い場に行ったりなどのマルチタスク化に加えて、グループの特性を活かし、京都八条口や大阪心斎橋、滋賀守山など人手の足りないホテルにヘルプに駆け付けるなど柔軟に動いており、スタッフも楽しんでやってくれています。
佐藤 ベッセルホテルグループとして「Ghost Kitchens」さんとコラボしたデリバリー事業を拡大しており、当ホテルでも導入を検討しています。ホテルスタッフ自ら研修を受け、空いているホテルのキッチン設備を利用して食事を作り、デリバリー用として販売をするというビジネスで、既に関東や大阪のホテルでは導入しています。食材を卸していただいているお取引先様に対するサポートになりますし、ホテル周辺にお住まいの方々にもベッセルホテルに親しんでいただける良い機会だと考えています。
そのほか、マイクロツーリズムに適応した地元の方専用の宿泊プランや客室のマンスリー販売、テレワーク・デイユースプランの拡充、日中のテレワーク用としてラウンジスペースを貸し出すサービス、また宿泊のお客様に朝食以外の食事をしていただけるよう、夜間にうどんや卵かけご飯などの軽食を販売するサービス等を開始しています。
佐藤 毎月7のつく日は「わがまちきれい運動」としてホテル周辺の清掃活動をしています。またフードロス対策として食材仕入の見直しをするとともに、余った食材で作ったお弁当をスタッフに販売するという取り組みも行っています。
ホテル周辺の飲食店と提携して、ホテルのカードキーを提示すると特典が付くという施策も実施しており、グループの各ホテルがそれぞれの地域で町全体での経済効果促進の一助となれるよう努めています。
今後は京都府民の方に向けて特別料金での朝食販売もしたいと考えています。「これだったら我が家の朝食の方が美味しいね」と言って帰ってもらっても構わないので、まずはお試しいただけると嬉しいです。
佐藤 観光産業復活のために一致団結して、力を合わせていきましょう。