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【仕事を変える】大手旅行会社から観光局を経て転職、会社員と独立の二刀流の働き方-ToBay酒井剛士氏

―それではまずSPCの仕事について説明してください。

酒井 もともと、さわかみホールディングスのいわばインハウスとしてグループ内の旅行ニーズに対応するために旅行事業を立ち上げたのですが、コロナが収束に向かいまた旅行にいける状況になれば、これまでの経験を活かし、ラグジュアリーな旅行事業へ重心を移す方針です。9月頃に専用サイトを立ち上げ、来年4月からツアーが催行できればと考えています。

―ラグジュアリーな旅行について、もう少し具体的に教えてください。

酒井 小さな会社ですから、1か月に1、2本のペースで、ラグジュアリーな旅を企画していく予定です。お客様一人一人の趣味嗜好に沿った細かなケアをおこなっていきます。そのほか、観光地はもちろん添乗員や地元民などとの交流を深めていく内容も盛り込みたいと考えています。小さい会社だからこそできる価値提供が必ずあると思っています。

―ToBayの仕事についてもご説明ください。

酒井 ToBayではDMOや旅行事業者のためのコンサルティングをおこなっており、すでに契約をいただいているDMOもあります。HTJは世界的に見てもDMOの最先端だと思いますし、そこで4年間にわたり学んだブランディングや戦略などのスキルはインバウンドの誘致や満足度向上だけでなく、国内DMOの課題解消にも役立つはずです。

―国内で今一番関心がある観光地はどこですか。
HTJでは営業部長としてハワイへの送客に貢献

酒井 個人的には、湘南に住んでいて好きな街ということもあり鎌倉が気になっています。鎌倉はオーバーツーリズムの問題が顕在化しており、ハワイにも似ています。ハワイはコロナ前には全世界からの来訪者が1000万人を超えたことで地域住民の生活に一部で支障をきたすようになってきました。そこで経済と地元住民の生活のバランスを考えるようになりました。鎌倉が置かれている状況と共通するものがあり、取り組んでいかないといけない問題だと思います。

―観光客が多い京都や沖縄も同様ですね。オーバーツーリズム回避する取り組みが欠かせなくなっています。

酒井 観光客が減少すれば経済的には厳しくなりますし、上手にバランスをとるのは簡単ではありません。これからは、来て下さる観光客の皆さんに、現地の方が困らない旅行の方法を学んでもらうことも自治体のやるべきことだと考えています。観光客が目的地を訪れる前に、様々な方法で現地の事情も考えてもらうという意識付けもこれからの旅行業界の大切な使命だと思います。

 CSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンスビリティ―)、企業の社会的責任はだいぶ根付き始めていますが、これからは観光産業にも同様のことが重視されます。私の造語ですがDSR(デスティネーション・ソーシャル・レスポンシビリティ)、つまり目的地の社会的責任として地域における来訪者の受け入れ方を考えていくべきでしょう。地域の状況もそれぞれ異なります。オーバーツーリズムに関して100%満足できる回答はないと思いますが、ToBayとしてもDMOや自治体等と一緒に、解決に取り組んで行こうと思います。