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ハワイの「今」を駐在員の視点から-失業率が全米ワースト1位、ワクチン接種が進むも苦境の旅行業界

 5月になり、ハワイも学年度末を迎え、卒業式や夏休みの話題を耳にすることが多くなりました。新規感染者数や陽性率の推移は改善している訳ではありませんが、ワクチン接種の対象も16歳以上の全住民になり、コロナ感染に対する安心感は人々の間に増してきているように感じます。

 ただ、医療資源に乏しい島国のハワイですので、州知事も「ハワイ州では、まだマスク着用を続けてください」と気の緩みがないように注意喚起をおこなっています。新たな日常に向かって順調に歩み始めているハワイの現況をレポートしたいと思います。

カラカウア大通りも人、車ともに交通量が増え、通り沿いのショップも営業再開しています

ハワイの新型コロナウイルス感染状況

 感染者数の推移ですが、急増もなく3月から引き続き安定した状態となっています。大幅に減少する様子もありませんが、政府による再度の規制強化は現時点では考えられておらず、市民の間からも必要性を感じる声は出ていません。2021年5月1日のハワイ州の新規感染者数(7日間移動平均値)は、州合計で約90名となっています。カウンティー(郡)毎の新規感染者数は以下の通りとなっています。

市郡州全体ホノルルマウイハワイカウアイ
新規感染者数(2月)51.1名28.3名19.7名2.7名0.4名
新規感染者数(3月)99.9名60.6名27.1名11.1名1.0名
新規感染者数(4月)90.9名63.4名14.9名4.1名8.4名
2021年5月1日現在:State of Hawaii, Department of Health



 累計感染者数累計死者数現入院者数現ICU利用
(最大358)
累計テスト数陽性率
2月2万7320名435名34名199名107万5225名1.2%
3月3万39名467名42名208名129万1006名1.8%
4月3万2580名483名47名203名145万1860名1.6%
2021年5月1日現在:State of Hawaii, Hawaii Emergency Management Agency


 アメリカ本土からの旅行者数が右肩上がりに回復し始めているにも関わらず、新規感染者数に大きな変動がありませんので、現在の感染原因が旅行者による持ち込みではないだろう、と予想されています。

 マウイ島では、州外から到着する旅行者のみを対象に、到着時の新型コロナウイルス検査を5月より開始しています。事前検査プログラムは継続して実施中ですので、到着前72時間以内に陰性証明を持ってマウイ島に到着する旅行者への再度の検査となります。事前検査で陰性だった人のうち、到着後検査で陽性が判明する人がはたしてどのくらい出るのか、非常に結果が興味深いものとなっています。

ハワイの規制緩和の状況

 ハワイ州では7日間の平均値と陽性率を規制緩和の指標としています。現在のハワイは、2月25日に移行したティア3を継続中となっています。

オアフ島におけるリオープニング・ストラテジー
ティア1ティア2ティア3ティア4
新規感染者数(7日間平均値)100名100-50名49-20名20名未満
陽性率5%5-2.5%2.4-1%1%


 主な規制として、集会は10名まで、入場定員はキャパシティの50%までと基準は設定されていますが、状況や業態に応じて規制を緩める柔軟な政策がとられています。

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