【現地レポート:イギリス】今年も夏休みはステイケーション? コロナ規制撤廃への道のり

  • 2021年5月14日

ワクチン接種は40代以下まで拡大
海外旅行は一部解禁も旅行業界の状況は依然厳しく

ワクチンパスポート

 EUのデジタルグリーン証明書(Digital Green Certificate)に相当するワクチンパスポート、イギリスでは通称コーヴィッド・パスポート(Covid Passport)と呼ばれるワクチン接種証明は、今回の海外旅行一部解禁に合わせ、5月17日以降、既存の国民医療NHS(National Health Service)アプリをデジタル版として使用することが明らかになりました。

 このアプリは元々病院予約や処方箋のオンラインオーダーに使われていましたが、昨年最初のロックダウン以来コロナ感染追跡の機能を加え、レストランや観光地など公共の場で氏名と連絡先を提出する代わりに、アプリでチェックインが出来るようになりました。更に今回はワクチン2回接種を終了後、その記録がアプリに反映されるというものです。もちろんスマホがない、またはアプリを使用したくない場合は、書面のワクチン接種証明も入手可能とのこと。但し現時点では海外旅行用のPCR検査結果は、このアプリに記載できないため、別途用意する必要があるようです。

 また、このコーヴィッド・パスポートは将来的に国内の大型イベントや、レストランやパブ、劇場などの入場時にも提示することを検討中ですが、ワクチンを受けられない、または受けない選択をした人の差別にならないよう配慮も求められています。

 以上、今回の政府発表では遂に親しい人と抱き合う「ハグもOK」、室内での飲食や人々のコミュニケーションについてはだいぶ緩和されて来ましたが、海外旅行はまだハードルが高い印象で、今年も夏休みは「ステイケーション(Staycation)」が主流になりそうなイギリス。次回は国内旅行にスポットを当てたいと思っています。

金融街シティは在宅勤務が増えてひっそりしています。左手はイングランド銀行、
正面のギリシャ風建築は旧王立取引所で現在は高級ショップが軒を連ねるアーケード。

最後に

 夏のイギリス風物詩ともいえる、日本でもおなじみのイベントの予定とロンドン市内各地の様子をご覧ください。

イベント名開催日状況
エプソムダービー6月4日-5日チケット販売中
ウィンブルドン選手権6月28日-7月11日来場人数などは政府の動きに合わせ後日発表予定。チケットは2020年の抽選当選者を優先し、販売はオンライン、チケットはアプリに。
全英オープン7月11日-18日チケット販売は政府の動きに合わせ後日発表予定
BBCプロムス7月30日-9月11日チケット販売は政府の動きに合わせ後日発表予定
全英女子オープン8月19日-22日チケット販売中
チェルシーフラワーショー9月21日-26日チケット販売中
ロンドンマラソン10月3日一般参加申し込みはチャリティーを除きすでに終了

※上記は5月11日現在の情報

ロンドンっ子にも人気の中華街。5月17日以降、店内飲食も可能になることを多くの人々が楽しみにしています。

同じく中華街の広場。コロナ禍で新たにテイクアウトしたものを食べられるテーブルと
ベンチが設置されました。これは観光客にも喜ばれコロナが終わっても定着しそうです。

歴史ある食品市場、バラ・マーケット。ロンドンの台所とも言われています。
隣接のレストランやフードストールは観光客にも人気ですが、今はまだ地元客が中心。

コロナ犠牲者を追悼する壁「ナショナル・コーヴィッド・メモリアルウォール」。
テムズ川に面した国会議事堂の対岸、セント・トマス病院前の塀。

約1.2kmにわたる壁に、ボランティアにより1つ1つ手描きされた約15万個のハートは
コロナで亡くなった人々の数を表しています。愛する家族や友人を亡くした人が訪れて
その名前を重ねて行く姿は心に迫るものがあります。

スウィグラー久美子
1989年渡英。ロンドンで長年旅行会社に勤務し、現在はフリーで訪日やインバウンドの通訳コーディネーターとして活動の傍ら地域のボランティアとして、野菜や庭作りを楽しみながら学んでいます。 日本への一時帰国とスペイン旅行が今一番望むことです。