「腑に落ちる」PRと草の根戦術で新規顧客を呼び込む、一般社団法人B-biz LINK 堀景氏

  • 2021年4月22日

観光案内所を起点としたインバウンド誘致
別府市独自のOTAもオープン

-「温泉ハイスタンダード!極楽地獄 別府」「#別府エール飯」など、打ち出されているコンセプトやビジュアルがとてもユニークですが、どのようなビジョンで企画されているのでしょうか。

 例えば、コロナへの不安を抱えながら暮らす多くの人が「ほっと」励まし合えるようなメッセージを送りあうサイト、「&FLOW」では、温泉マークの湯気の模様をずらした「KEEP DISTANCING」のロゴを採用しています。「また普通の温泉マークになるときまで、今は距離をとりましょう」という思いを込めました。

 心がけているのは「腑に落ちる」ことです。奇抜なだけの企画ではバズったとしても一過性のものになっていまいますし、賛否も分かれます。「あ、なるほど」と最後に腑に落ちる部分がしっかりとあるPRを意識しています。

-今後、国内外の旅行会社とはどのような協業の可能性があるでしょうか。

 協業しているフリープラスは、東南アジアなど我々にはないネットワークを持っています。そのパイプを通じて現地のお客様にアプローチし、ゴールデンルートから1歩先へと踏み出してもらうことが我々の要望です。一方、彼らは我々との仕事を通して欧米やオーストラリアなどへのアプローチが可能となり、自治体が何に困っているかを学ぶ機会も得られます。

 このような実務レベルでの繋がりはとても大切だと思います。自治体で横の連携をと言われていますが、個人的には自治体は縦の連携しかないと思っています。九州であれば、福岡があってはじめて九州各県がある。温泉地ばかりを泊まり渡るというツアーはあり得ません。旅行はあくまでお客様が主体ですから、どういった商品がマーケットに受け入れられるのかを考え、連携を組んでいく必要があります。単純に地理的に近い地域同士で協力してもあまり意味はないでしょう。

 より良い商品を作るために、知見を持った旅行会社が旗を振ってキュレーションするような取り組みは面白いと思います。ご興味がある方は是非ご連絡ください。

-コロナ後に予定されている施策について教えてください。

 B-biz LINKは現在、観光プロモーションから観光開発に軸足を移しつつあります。2年後には観光施設のオープンにも携わります。今後は事業性を重視した活動を主体とするべく、プロダクト開発や観光施設の開発、OEM的に我々がアイデアを入れてリブランディングしていくなどの事業にシフトしていきたいと考えています。

 今年は別府市独自のOTAもオープンします。国内には既に強力なOTAがいるため、店子に向けては手数料を安くするなどで差別化を図り、お客様に向けてはここでしか買えない限定商品など、OTAのポイント制度に代わるメリットを考えています。得られた事業益は次の事業に回すので、地域内でのお金の循環も生まれます。

-観光産業従事者に向けてメッセージをお願いいたします。

 観光を支えるのはやはり国内の旅行だと思います。その点、別府に限らず九州は弱く、域内のみの旅行で車1台とホテルを予約すれば終わり、となりがちです。例えばフェリーの「さんふらわあ」は、2022年に大阪~別府航路に新造船を導入する予定です。新造船は1人当たりの占有面積が広くなり、相部屋ではなく個室タイプが増えます。そういった素材を活かした、本当の意味で非日常を味わえる旅は、旅行会社が最も得意とする分野だと思います。「これまでの別府とは違う商品を作りたい」という方は是非お声がけください。

-ありがとうございました。