「旅行業界はヨコ連携の強化を」 個人・業務渡航のアット・ザ・スカイ代表 田中正紀氏
新規事業にも果敢に挑戦、ビジネス領域の拡大で人材のつなぎ止めにも
旅行会社として営んできた従来の業務が消えてなくなってしまったいま、何をどうしたらいいのか。手探りの中から、ひとつの可能性に着目したのがアット・ザ・スカイだ。同社の田中正紀社長は、可能性を育てビジネス化するためには、旅行会社に欠けている横連携の意識と仕組みが必要だと話す。(インタビュー実施日:2021年3月29日/聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
田中正紀氏(以下敬称略) もともと三井グループのインハウスであるエムオーツーリストに約25年間在籍していました。それからJAL、ANAなど航空会社と米トラベロシティが参加して立ち上げた海外旅行予約サイト「タビニ」に移りました。いわゆるOTAの先駆け的な会社でしたが、海外旅行のオンライン予約市場がまだ成長していなかったこともあり05年に会社は解散。このタイミングに起業を決意してアット・ザ・スカイを創業しました。
当時、個人が海外旅行をする際の航空券にはペックス運賃やIT運賃など複雑で多くの選択肢があり、旅行する個人にとっては商品選びが大変でしたし、WEBサイトでのクレジットカード精算に不安を感じる旅行者も少なくありませんでした。一方で、私は長年個人旅行に携わってきたので、お客様のこれらの不安を解消する術も分かっていましたし、顧客の相談にしっかり対応できる会社を作れば市場に受け入れられると考えました。以降、個人並びにビジネス渡航向けに「相談できるトラベルエージェント」を掲げて仕事を続け17期目となりました。
コロナ前の取り扱い内容は海外旅行と国内旅行が9対1の比率で、ビジネスと観光は6.5対3.5の比率でした。前年度の業績は、当社が11月決算のため、コロナ禍の影響が小さかった19年12月、20年1月・2月くらいまでの売上があり前々年度に対して8割減で収まりましたが、それ以降はビジネス需要がほぼ停止状態です。
田中 他社同様、まずは固定費削減に取り組み、共同利用していたオフィスのシェア相手を増やすことで家賃節減を図りました。人件費に関しては雇用調整助成金を活用しているほか、契約社員については給与やアルバイト代の見直しも進めました。あとは一般管理費を中心とした変動費の削減に努めています。
田中 せいぜい2割。雇用調整助成金の分を含めても3割程度です。どうしてもGDSなどシステム関連コストがかかってしまい、とくに通信費関係は外せない経費なので会社全体の経費削減にも限界があります。