「旅行業界はヨコ連携の強化を」 個人・業務渡航のアット・ザ・スカイ代表 田中正紀氏
新規事業にも果敢に挑戦、ビジネス領域の拡大で人材のつなぎ止めにも
田中 数件問い合わせがあります。固定客から別の国内案件を受注したりしています。旅行会社は人と人とのコミュニケーションで成立している面があり、通常、新たなサービスを立ち上げても「へえ、こんなサービスがあるんだ」とはなっても、すぐに「具体的な話を聞いてみよう」とはなりません。まずは従来の固定客に対して、こういう新しいサービスを始めましたので、ついてはお手伝いをさせてもらえますか、という流れになると見ています。そしてビジネスを動かし始めた時に、自社だけでは対応しづらい内容が出てくるでしょう。そこで仲間を募りコンソーシアムを形作る必要性が出てきます。
田中 各社担当者がどこまで関わるかによって違ってくるので、案件ベースで検討します。リテーラーの先にある重要なお客様とのコネクションを引き出すことが第一歩と考えます。
田中 そうです。友人の国際税理士事務所が言うには、たとえば「いまシンガポールの状況がどうなっているのか情報がほしい」といった本来の業務内容以外の問い合せをするクライアントが増えており、その多くが中小企業だそうです。需要は大きいのではないでしょうか。海外だけではありません、今後は国内業務代行としても新しいホスピタリティビジネスが生まれる可能性も大きいでしょう。
海外業務代行以外にも、今後は少額短期保険も手掛けようと計画しています。私が少額短期保険の資格を持っているので、介護関連保険商品の取り扱いを考えています。
田中 コロナ禍によって業界外への出向者を含め人材流出の懸念がありますが、これを食い止めるためにも旅行会社が海外業務代行などの新たなビジネスを取り込んでいく必要があると感じています。そのためにも旅行会社同士が手を携え、お互いが持つ力をどう生かしてビジネス展開を図っていくかが重要です。
海外業務代行に興味がある旅行会社はぜひ連絡してほしい。ビジネスを手伝うことができるし、当社のコンテンツは喜んで提供します。常々思うことですが、旅行会社は横のつながりが本当に弱い。JATAやANTAの手を借りるまでもなく、ホールセーラーなどがリードして連携が動き出すように仕掛け、情報交換会でもいいので、何とか連携の機会を作るべきです。そこで自社の弱点を補ってくれる企業を見付けたり、補完し合う仲間とつながれば新しい可能性が開けていくと期待しています。