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苦しい時こそ共存共栄の理念を忘れず-「紅いもタルト」の御菓子御殿代表 澤岻英樹氏

コロナ禍中も原材料の買い取りを続ける
回復を見据えて大型店の改装も

-農家との契約上、引き受けざるを得ないのでしょうか

澤岻 そうした契約は結んでいませんが、農家も困っているのは同じ。農家あっての我々ですから、苦しい時だからこそ共存共栄を目指して農家と一緒に頑張ろうと考えています。

-苦しい中でも、クラウドファンディングのような新たなアイデアにも取り組んでいますね
大きな花笠が目印の読谷本店

澤岻 昨年10月に、当社販売本部長の発案で県内菓子メーカーに呼びかけ、5社で団結してクラウドファンディングを実施しました。寄付への返礼品として、5社の主力とするお菓子の詰め合わせを贈るものです。コロナ禍の影響で沖縄に来ることができない消費者に、そのお菓子を食べることで沖縄を思い出してもらい、コロナ後には再び沖縄へ行こうと思い立ってもらうための試みでした。約1カ月間でファンドを集めることにし、目標額は100万円としましたが、残念ながら目標達成はできませんでした。しかし通常なら連携しない企業同士が団結したことの意味は大きく、今後も協力関係を維持して行ければと思います。

 新しい試みとしては、「紅いもカレー」にもチャレンジしました。紅芋の在庫が増えてしまったこともあって、消費拡大のためのアイデアでした。紅芋とブランド豚「紅豚」を使った紅づくしのカレーです。1月22日の「カレーの日」に合わせて発売し、反響も大きかったです。

-人員削減やコストカットはどのように進めていますか

澤岻 小型店を閉め、大型店は通常の半分以下の人数で仕事を回していますが人員削減はせず、雇用調整助成金を活用して休ませています。しかし新卒採用は最小限にとどめ、ベトナムからの研修生を受け入れもストップしており、定年退職後の継続雇用延長もできなくなりました。

 厳しい状況は続きますが、今年3月から始まった「おきなわ彩発見」の第3弾で、ようやく観光業を幅広く支援する前提に土産物事業者や観光施設に恩恵が及ぶ仕組みになりました。宿泊のみの補助上限は1人1泊8000円ですが、土産物店や観光施設の利用を含むと補助上限額が1万6000円に引き上げられるので、需要喚起効果に期待しています。

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