観光産業テレワークに関するアンケート

アジア系トラベルテック企業から見るポストコロナ訪日マーケットの展望(前編)

日本は最も人気のある旅行先、パンデミック終息後の需要回復に期待

 新型コロナウィルス感染症(COVID-19、コロナ)の世界的感染拡大が始まってから1年が経とうとしている今、アジア系トラベルテック企業から訪日旅行マーケットに熱い視線が送られている。インドネシア最大手のオンライン旅行代理店(OTA)tiket.comのインターナショナルビジネス統括部長サラ・エローザ氏と、中国の旅行・ホスピタリティITソリューション企業Shiji Groupのマネージングディレクター、アンソン・ラウ氏に、ポストコロナの海外旅行需要の展望と訪日マーケットへの意欲と戦略を聞いた。両社は「海外旅行の需要は必ず回復する」と確信を持ちながら、日本のホテルとの契約を模索している。(インタビュー実施日:3月8日/聞き手:F-nessシンガポール法人代表取締役 赤井亮太)

tiket.comインターナショナルビジネス統括部長のサラ・エローザ氏(左)と、Shiji Groupマネージングディレクターのアンソン・ラウ氏(右)
-まずはお二人の会社と事業について紹介をお願いいたします。日本マーケットへの期待と目標も併せて教えてください。

サラ・エローザ氏(以下敬称略) tiket.comは、2011年に設立されたインドネシアにおけるOTAのパイオニアです。2017年にインドネシア最大のビジネスコングロマリットであるDjarum Groupに買収されました。私たちは、国内外で航空券、宿泊、体験(現地ツアーやアクティビティ)などの幅広い旅行商品を提供することに特化しています。当社のウェブサイトやモバイルアプリは、主にインドネシア人をはじめとする東南アジアの人々に利用されています。

 日本はインドネシア人にとって注目の旅行先であるため、tiket.comでは日本での旅行商品の多様化と仕入れ強化を進めている最中です。具体的には日本の宿泊施設と直接取引契約を締結することで、2億7500万人のインドネシア人や東南アジア諸国及びアジア圏外の人々へ向けて在庫の販売を可能にし、集客に貢献したいと思っています。

-日本には既に数年前から他のOTAが参入しており、非常に競争の激しいマーケットとなっていますが、どう感じていますか?

エローザ 当社が早期参入者ではないことは承知しています。しかし私たちの最大の強みは、世界第4位の人口を抱えるインドネシアに特化していることです。この分野では競合他社を寄せ付けないと確信しています。例えばインドネシアでのクレジットカードの普及率は、全人口の2%から3%程度とまだまだ低いため、私たちはクレジットカードを保持しないお客様のために現地に根付いた支払い手段を提供しています。

 当社はインドネシアのお客様と市場のニーズを理解し成功している数少ない旅行プラットフォームのひとつです。私たちのこれまでの功績は、シームレスな予約体験を提供し、インドネシア人がこれまで以上に国内外への旅行を身近にしたことです。また、これまでの経験と知識を活かし、東南アジア諸国やその他世界各地でもプレゼンスを拡大していきたいと考えています。

 2018年から2019年に宿泊予約件数の成長率は3桁から4桁をマークし、大幅な成長を遂げています。特に日本の宿泊予約件数は、大規模なオンラインキャンペーンにより、2019年は前年の約1000%増加しました。

-続いて、Shiji Groupの紹介をお願いいたします。

アンソン・ラウ氏(以下敬称略) Shiji Groupは、ITソリューションプロバイダーです。主にホスピタリティ、F&B、リテール、レジャーの4つの業界のお客様にサービスを提供しています。私たちのソリューションは、人々のEat、Sleep、Play、Payをサポートします。本社は中国の北京にあり、日本を含む世界中に30のオフィスを構えています。ホスピタリティ分野では、バックオフィスシステム、PMS、CRS、チャネルマネジメント、POSシステム、決済ソリューションなど、あらゆる製品を揃えています。

 特にShijiでは、日本のテクノロジーエコシステムがユニークであることを認識し、尊重しています。 ほとんどの日本国内の宿泊施設はTL-LincolnやTemairazuのような国内のチャネルマネジメントシステムを利用しています。 これらのシステムは日本マーケットに特化しており、宿泊施設が料金、在庫、制限を管理するのに非常に適した便利なシステムです。 Shijiの日本における戦略は、独自のチャネル・マネージャーを日本に導入することではなく、できるだけ多くの国内チャネル・マネージャーとのパートナーシップを構築することです。 そうすることで日本の宿泊施設は慣れ親しんだ国産のチャネル・マネージャーやサイト・コントローラーを引き続き使用することができ、更にはShijiの200以上の旅行代理店流通ネットワークに在庫を提供することができます。

次ページ >>> 日本マーケットにおける課題