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アジア系トラベルテック企業から見るポストコロナ訪日マーケットの展望(前編)

日本は最も人気のある旅行先、パンデミック終息後の需要回復に期待

-近年ホテルチェーンや宿泊施設の中には、直販を推進し、OTAを含む旅行代理店やホールセラーへの依存度を下げる動きも出てきています。

エローザ 私はOTAが今後も重要な役割を果たし続けると信じています。前述したように、私たちの強みは商材の充実度に加えてローカライズされたサービス、特に言語と決済手段です。すべての宿泊施設が自社のウェブサイトやアプリをインドネシア語で開発し、なおかつクレジットカードを使わずにインドネシア・ルピアでの支払いを受けることは非現実的だと思います。tiket.comは宿泊施設とインドネシア人旅行者の間に立ち、このような障壁を克服する手段を提供し、双方にとってのメリットを生み出す理想的なプラットフォームです。

-Shijiは既に日本オフィスを構え、より多くの宿泊施設と接続しようとしています。日本マーケットにおいての課題は何でしょうか?

ラウ Shijiと日本の宿泊施設経営者との間での課題ではないのですが、真っ先に思い浮かぶのは言語の壁です。海外の旅行代理店と日本の経営者とが直接交渉して在庫販売契約を結ぶ必要があるため、言語の壁があると商談をすることも困難になります。

 もう一つの課題は、旅行代理店と日本の宿泊施設の間のB2B支払いです。日本国外の旅行代理店が日本の宿泊施設にどのように宿泊料金を支払うのか、あるいは日本の宿泊施設が海外の旅行代理店にどのように効率よく手数料を支払うのか。Shijiの製品や技術とは直接関係ありませんが、解決策を見つけるため、旅行代理店と宿泊施設の双方にとって最善のサポートをするように心掛けています。

-「スイッチ」というITソリューションは日本ではあまり馴染みがないのですが、Shijiが新たに開発した技術なのでしょうか?また競合他社はいますか?

ラウ スイッチは2000年代から既に業界に存在しており、宿泊施設や流通チャネルに同様の技術やサービスを提供しているプレイヤーが複数存在します。その競争の中で当社の強みは、宿泊施設の供給と販売チャネルの両方の観点から、中国市場に並行してアクセスできることです。 チャネルについては先ほどお話した通りで、 供給面では約80のチェーンや卸売業者とつながりがあり、そのうち50以上が中国のチェーンです。 その中には他のスイッチソリューション・プロバイダーにはない、独自のチャネルやサプライがたくさんあります。

 さらにShijiではスイッチに限らず、エンタープライズCRS、クラウドベースのチャネル・マネージャー、Wechatブッキングエンジン(編部注:Wechatは中国で最も利用されているソーシャルメディア)を含むブッキングエンジン、画像配信システムIcePortal、GDS代理店サービスなど、あらゆるソリューションを提供しています。

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