沖縄観光は量も質も追求、県民が豊かさを実感できるように-沖縄観光コンベンションビューロー会長 下地芳郎氏
21年度は最悪シナリオでも500万人目指す
受入環境も万全、「ぜひ沖縄にいらしてください」
下地 水際対策として、沖縄県が昨年4月から空港到着時のサーモグラフィーによる検温を開始し、必要があれば空港内の国際線検疫施設を借りてPCR検査をおこなえる体制を整えました。また昨年6月には「旅行者専用相談センター沖縄」、通称TACOを設置して、看護師らが常駐して発熱があった旅行者に問診するなどの取り組みもスタート。無症状の感染者をチェックできない課題はありますが、旅行者自身の体調管理への意識向上など、心理面の効果の大きさは感染症専門家も認めるところです。
このほか市中感染防止策として国の接触確認アプリ「COCOA」や県の新型コロナ対策パーソナルサポートLINEアプリの「RICCA」の取り組みも推進しており、旅行者には両アプリの併用を呼びかけています。今年2月には那覇市内に県の沖縄PCR検査センターが設置されました。
下地 行政支援は国、県、市町村のそれぞれがおこなっていますが、国の雇用調整助成金や持続化給付金が一定の効果を上げています。とくに雇調金は大きな助けですが、満額支援ではないので、そこは県へ上乗せを要求し現在も続いています。これをできるだけ長期的に継続してもらえるよう行政に働きかけています。
ただ長期休業が続くと働き手のモチベーションやスキルの低下が心配です。そこで観光産業で培ったスキル等を活かして他産業で働く機会を提供するため、国や県が設けたジョブマッチングシステムを活用し、活躍の場を探しやすいよう工夫しています。またホスピタリティを持った観光産業の人材受け入れを検討する県内企業の動きも出てきており、公的支援に頼るだけでなく民間同士の取り組みにも期待が持てます。
下地 行政が県産品を給食の食材に積極的に使用したり、県民もスーパーなどで県産品を購入するといった支援の動きもあります。またチェーン展開のホテルの中には、沖縄県産品をスイーツ材料として購入し全国施設でスイーツに加工して販売してくれる動きもあります。インバウンドが無くなり県外観光客が激減する中で土産物業界やデパートは大打撃を受けており、さまざまな形で支援していく必要があると認識しています。