travelvision complimentary

文化コンテンツを通じて相互理解を―韓国専門の三進トラベルサービス代表 立木健康氏

  • 2021年3月1日

専門旅行会社ならではの「オンラインツアー」
SNSで新たな客層を掴む

三進トラベル代表の立木(小島)氏と社員の皆さん。インタビューはオンラインで実施した

 韓国に惚れ込み、大手旅行会社を辞めて韓国に特化した三進トラベルサービスを立ち上げた立木(小島)健康氏。海外旅行が催行できない状況が続くなか、韓国への知見を活かしバラエテに富んだオンラインイベントを企画している。文化コンテンツの流通を通して日韓の橋渡しをしたいという立木氏に、コロナ禍中の取り組みを聞いた。インタビューは2月9日に実施した。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

-はじめに貴社とご自身のご紹介をお願いいたします

立木健康氏(以下敬称略) 私は1961年生まれで今年還暦を迎えます。大学卒業後は大手旅行会社で15年ほど一般団体の営業を担当し、国内外の添乗業務もしていました。手配するのは東南アジアが多かったのですが、ソウルオリンピック前の時代にソウルを訪れた際、日本と似ているようでどこか違う、少しタイムスリップしたかのような雰囲気に惹かれました。その後も仕事やプライベートで訪れるうちにますます韓国が好きになり、韓国人の女性と結婚もしました。

 その後、韓国のランドオペレーターから東京の支店で働かないかと誘いを受けて転職。ところがお客様が旅行会社ということになり、これまでとのギャップからどうしても仕事が上手くかみ合いませんでした。ならば自分でやろうと一念発起し、1998年に韓国専門の旅行会社を個人事業から立ち上げました。

 当時「安・近・短」の韓国を専門にする会社はほかになく、何故そんなことをするのか、という声に悩んだこともありました。その上独立して間もなく9.11が起き、すべての仕事が白紙に。何か新しいことを考えなければと思っていた矢先、日韓共催ワールドカップからの流れもあり、韓流ブームが訪れました。以前から韓国の地方にも訪れていたのでドラマのロケ地などにも精通しており、大手旅行会社に先行して波に乗ることができました。

 韓国への旅行は、日韓の政治的な関係やSARS、MERSなどの感染症、北朝鮮の動きなど、たびたび浮き沈みがありますが、メンター的存在の方から「韓国をとことん極めなさい」と言われたことや、創業当時の韓国観光公社東京支社長の「大手が動く前に得意な韓国の地方を取り込めば良い」という言葉が支えとなり、今日に至ります。業務としては韓国への旅行手配のほか、一部ランドオペレーター的な仕事や、富裕層を得意とする韓国の旅行会社と組み、訪日旅行の手配も行っています。

-コロナの業績への影響と、それに対しどのように対応されてきたかをお聞かせください

立木 昨年の2月後半より一切の予約が消え、第1波の期間は社員を休業させました。業績としては95%以上の落ち込みです。

 当社には年に6回、7回韓国を訪れるようなリピーターのお客様が多く、当社を忘れないでいただくため、第1波が落ち着いた頃には国内の日帰りバスツアーを、Go Toトラベルが始まった頃には温泉地などでの泊まりの旅行を企画しました。韓国と関係はありませんが、お客様同士のコミュニティもできているので、久しぶりの顔合わせの機会にもなりました。

 7月頃からは古墳に関するセミナーを行っている団体と協力して、オンラインセミナーを始めました。以降韓国をネタにしたオンラインセミナーを増やしており、2019年には及びませんが徐々に収益も出るようになってきています。