【現地レポート:イギリス】ロックダウンの生活と意識、旅行業界の雇用状況

  • 2021年2月5日

業界失業人数は300万人とも
コロナで変化した人々の意識

ファーロー(一時帰休)と旅行業界

 この1年で雇用状況も大きく変わりました。政府は失業対策として新型コロナウイルスの影響を受けた全業種の被雇用者を対象に、ファーロー(Furlough)という一時帰休と給与の8割(上限1か月2500ポンド)を補償する制度を導入していますが、ご承知のように旅行業は深刻な危機にあります。

 一説では300万人が失業、インバウンドは7割が解雇と言われ、実際私の周囲でも解雇、または時短勤務で減収という人が少なくありません。もちろんABTA( Association of British Travel Agentsという日本のJATAに相当する団体)やUK INBOUNDなど様々な団体は政府に対して、旅行業に特化した救済や支援を求めると同時に、現行のファーローをはじめ、付加価値税の支払い期限や税金の優遇措置の延長などを、強く要求していますが今のところまだ回答は出ていません。

 まだ先が見えないとはいえ、旅行需要が戻ることは確実、それまでに航空会社や旅行会社、ホテル、そのサプライヤーも含めた、業界全体が生き残れるようなサポートを期待せずにはいられません。この厳しい状況の中、今回は旅行関係者も含む私の友人、仲間や先輩諸氏の協力も得て、コロナ禍の生活について簡単なアンケートを行いましたので結果を紹介します。

ミニアンケートで垣間見る人々の生活や意識

 選択肢はあえて設けずベスト&ワースト3を自由に述べて貰い、回答を10項目に大別して集計。あくまでも私の周囲ですが、現地の生の声を少しでも感じでいただければと思います。

(※全81名中、国籍は日英半々でそれぞれ36、37名、その他8名。男女比は4対6で女性多め。年齢は15~79才、うち6割が50才以上、以下50才未満、30才未満がそれぞれ2割ずつ。職業は様々ですが、引退・退職者も含む丁度3分の1、27名が旅行関係者です)

質問1.コロナ禍がもたらしたワースト3は?


 同居者以外、誰にも会えないことは予想通りトップに。2番目「失業、減収などや仕事や将来への不安や懸念」は失業した当人はもちろん、会社に残った人の心にも大きな傷を残し、新卒の就職難を含め、仕事や将来への不安は全世代共通です。

 4番目「国内・海外旅行に行けない、中止した」は日本ほか海外の祖国に帰れないことも含まれます。5番目「その他個人的、社会的なマイナス面」の具体例は、若い世代の学業の中断やオンライン授業だけの難しさ、小さな子供達にとっても友達に会えない、また結婚式の延期など様々な世代の異なる悩みが寄せられました。

 8番目「自身の感染、友人の死、親の葬儀に出られなかった」は最も辛く、悲しい現実、ここイギリスでは新型コロナウイルスはもう他人事や単なる数字ではありません。世界中の亡くなった方々とご遺族にお悔やみを、そして今も闘病中の方々の回復を祈るばかりです。

質問2.コロナ禍がもたらしたベスト3は?


 一方、良かった点の回答の殆どは、時間の余裕ができたことに由来しています。7番目「その他個人的、社会的なプラス面」は大学生の「新しい働き方や社会の変化を歓迎」、結婚前のカップルから「貯金ができた」「一緒に暮らし始めた」、また働く女性の「妊娠した」など応援したくなる嬉しいコメント群です。

 趣味は多種多様ですが、Netflix加入、Zoomを始めた方が多いのは万国共通。しかし予想通りだったのは料理にはまった日本人女子。私自身もですが、この状況では食事しか楽しみがありません(笑)。ごく少数を除き料理を楽しんだ9割強が日本人女性です。

 もう1つ典型的な結果は自然が大好きなイギリス人。5番目「自然や屋外で楽しむ時間が増えた」、9番目「騒音、環境汚染の軽減」のは殆どが性別年齢を問わず、イギリス人からの回答でした。静けさを愛し、環境問題に関心の高い国民性が小さなアンケートにも表れています。

 8番目「新しいスキルの体得」は旅行関係者も含め全員、オンラインでレッスンやトークの仕事を始めた方々です。今や動画制作やトークのスキルは個人、組織人問わず必要な時代になりました。

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