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【現地レポート:イギリス】ロックダウンの生活と意識、旅行業界の雇用状況

  • 2021年2月5日

業界失業人数は300万人とも
コロナで変化した人々の意識

 はじめまして。私は1991年JTBヨーロッパ入社以来、ロンドンで長年旅行会社に勤務し、近年はフリーで訪日やインバウンドの通訳コーディネーターをしていますスウィグラー久美子と申します。前職からのご縁で当欄にお誘いいただきました。

 日本でも毎日のようにイギリスの新型コロナウイルスの変異種について報道され、イギリス全体のイメージダウンを心配していますが、皆さんのご想像はどのようなものでしょうか?ロンドンにおいては今のところ大変静かで、皆落ち着いており我慢強い国民という印象です。

 初めての今回はロンドンとイングランドの現状、そして私の周囲の人々の様子を中心にレポートお届けしますので、どうぞよろしくお願いします。

※内容は2021年1月29日現在

昨年8月のロンドン中心部、トラファルガー広場:ロックダウンが開けても海外からの観光客は戻らず、本来ならば夏休みのピーク時も観光客の姿はほとんどなく、車もまばらでした

コロナ発生からちょうど1年、急ピッチで進むワクチン接種

 昨年1月28日、イギリス政府が中国への渡航禁止を発表。翌日ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)が中国便を全て運休、31日にイギリス初の感染者2名が確認されてから丸1年。先日ついに新型コロナウイルスによる累計死亡者は10万人を超え、ここ半月ほどで新規感染はピーク時の半分以下に減少したものの、まだ1日平均で約3万人近くが感染、死亡者も1000人以上、依然ティア4という最高の警戒レベルにあります。1年前はこれほどの惨禍なるとは誰も想像していませんでした。

 現在は世界で最も危険な国の1つになってしまったイギリスですが、一方で新型コロナウイルスやワクチンの研究は進んでおり、接種も世界に先駆けて開始しました。しかし、状況の悪化により政府は、本来3週間おきに2回接種するワクチンの2回目接種を遅らせ、より早く多くの人に1回目の接種を行う方針に急遽変更しています。

 具体的には50歳以上を高リスクと定め、9つにグループ分けし、最もリスクの高い最優先4グループ(高齢者介護施設、医療・介護関係者、年齢に関係なく心身の重病者、70歳以上)に対して、2月15日まで最低1回ないし2回の接種を目標に掲げています。尚、この4グループは全人口の2割にあたる約1500万人にものぼります。

 今後の規制やロックダウンの期限は、まず2月15日の時点でワクチン接種の目標達成率と新規感染・死亡者数を照らし合わせ、専門家と協議の上での発表となります。その後、徐々に下の世代に範囲を広げ、最終的には18才以上の全成人にワクチン接種を行う予定です。

 なお、接種は強制ではありませんが、政府とNHS(National Health Service という国民保健サービス)の主導にて無料、優先順位も決められており公平です。ちなみに、94才と99才とご高齢のエリザベス女王ご夫妻も受けられたそうです。

2度目のロックダウン中の国会議事堂とウエストミンスター橋:正面の塔は修復中のビッグベン。以前は観光バスやダブルデッカーの渋滞、テムズ川を望む絶好の撮影ポイントに集まる観光客が絶えなかった橋も静まりかえっています

ロックダウンの生活は?

 「Stay Home, Protect the NHS, Save Lives」家にいることがNHSと命を救う、というスローガンのもと、現在は不要不急の外出は法律で禁止、飲食店は持ち帰りのみ、食料品や薬品など必需品以外の店舗は休業、そして海外渡航もついに違法となり、出国時は合法的理由が必要になりました。

 在宅ができない職種の通勤、通学、通院を除き外出を許されているのは、自分の居住区内において必需品の買い物、および健康維持のための運動で1日1回のみです。学校は基本的に休校ですが、キーワーカーと呼ばれる医療、教育、その他社会的インフラに関わる、在宅できない職業の方のお子さんたちに限っては、登校が認められています。

 また一人暮らしや単親世帯、介護の必要な方など状況に応じてヘルパーや特定の家族友人に会うことは許されています。そのほか冠婚葬祭ほか生活、ビジネスについても警戒レベルに合わせ、異なるルールが政府により定められ、違反による罰金もあります。

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