ハワイ、需要回復まで長期戦で挑むリカバリー策とは-ハワイ州観光局日本支局長ミツエ・ヴァーレイ氏
21年の目標は50万人、鍵は帰国時の14日間自主隔離
レスポンシブルツーリズムと並行で「マラマハワイ」も訴求
海外旅行が事実上ストップしている中、コロナ禍が落ち着いた後に最初にレジャーマーケットが再開はするのはハワイだと言われている。リピーター率が高く、コアなハワイファンが多いためだ。しかし、現状は引き続き厳しい。昨年11月からは日本向けにもハワイ州保健局が指定する新型コロナウイルス陰性証明書の提示により自己隔離を免除するハワイ州事前検査プログラムが導入されたが、利用者は極めて限定的だ。市場の停滞が長期化する中、ハワイ旅行再開に向けて必要なこととは。今年の見通しも含めて、ハワイ州観光局(HTJ)日本支局長のミツエ・ヴァーレイ氏に聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
ミツエ・ヴァーレイ氏(以下、敬称略) まだ最終数値は出ていませんが、ハワイ州産業経済開発観光局(DBEDT)のデータを見ると、11月末までの予想は29万5000人。12月に臨時便も含め運航便数は増えましたが、その搭乗率などを勘案すると、2020年は30万人前後の水準になると見ています。
ヴァーレイ オアフ島では昨年10月に再開に向けた段階的緩和がステージ1からステージ2に緩和されましたが、昨年末の感謝祭からクリスマスホリデー期間で感染者数が再び増加。その後、州全体で取り組みを強化し、現在は減少傾向にあります。1月13日の1日平均の感染者数は185人ほど、累計では2万3733人。米国内では一番少ない州となっています。
すでにワクチン接種も始まっています。まず医療従事者から実施され、1月下旬からは75歳以上への接種も始まり、夏までには接種が完了する見込みです。
また、ハワイ州内の対策について説明すると、マスク着用は義務化されているため、ほぼ全員マスクを着用しています。エスカレーターやエレベーターの人数制限も日本よりも徹底されていると思います。レストランについてはステージ2の段階では5人以上のグループは入店不可。収容人数も50%に制限されています。
HTJでは、安全・衛生対策動画を制作しています。ハワイ州 新型コロナウイルス情報サイトでは、空港・航空会社、レストランでの対策動画を公開しています。今後、宿泊施設やアクティビティ・観光施設での取り組みも掲載する予定です。
ヴァーレイ ハワイ州が緊急事態宣言を発令したのは昨年の3月4日と早く、それに伴ってビジネスを守る補助金が出るのも早かったため、現状ホームレスの急増や倒産の増加は見られません。連邦政府の予算が通れば、経済支援は今年3月まで継続されることになります。窃盗が増えているというニュースは見ますが、警察のパトロールも強化されており、大きな事件はありません。