ハワイの「今」を駐在員の視点から-コロナ感染状況と規制緩和、観光施設の情報も
4段階のリカバリー制度、リオープニング・ストラテジーを実施
旅行者には「旅行前検査プログラム」で隔離免除
ハワイにおける現在の規制緩和の状況
ハワイではリオープニング・ストラテジーにより行動規制を4段階に分けており、次のステップへ進むための条件となる数値を定めています。これにより緩和への目標が明確となり、各々がとるべき行動規制へのモチベーションになっています。曜日により検査数が異なるため、ハワイ州では7日間の平均値と陽性率を規制緩和の指標としています。
オアフ島におけるリオープニング・ストラテジーの一部は以下の通りです。
ティア1 | ティア2 | ティア3 | ティア4 | |
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新規感染者数 (7日間平均値) | 100名以上 | 100~50名 | 49~20名 | 20名未満 |
陽性率 | 5% | 5%~2.5% | 2.4%~1% | 1% |
次のステージへの移行は最低2週間の新規感染者数の維持が必要で、オアフ島は10月22日よりティア2となっています。ほとんどの社会活動やビジネスはティア1から許可されていますが、それぞれのティアにより活動の人数制限が設けられています。たとえばレストランではティア2までは同席5名までで、ティア3では10名、ティア4では25名となっています。
「旅行前検査プログラム」開始後の感染状況の変化
ハワイ州では早期の旅行正常化に向けて、2020年10月15日より「旅行前検査プログラム」を開始しました。これはハワイへのフライト出発72時間以内にハワイ州保険局が指定する検査機関・方法にて検査を受け、陰性であった場合は到着後10日間の検疫期間が免除されます。
日本への帰国後に自主隔離があるため日本人の利用者はほとんどいませんが、米国本土からの国内旅行客はこの制度が開始された時点より急増しました。
上のグラフの青い棒グラフと左縦軸の数値がハワイに到着した米国国内旅行者数になります。10月14日まで1日平均1500人程だったものが、10月15日以降平均7500人、およそ5倍になっています。
赤い折れ線グラフと右縦軸は、ハワイ州の1日の新規感染者数を表しています。10月14日までの平均は1日110人程に対して、10月16日以降は1日95人となっています。これを見て気が付くのが、ハワイに来る米国国内旅行者が約5倍と急増しているが、ハワイ州における新規感染者数に大きな変化が見られない、ということです。
米国全体の新型コロナ感染者数は、連日日本でも報道されている通り桁違い多く、このプログラム開始時の10月は小康状態だったとはいえ1日平均の新規感染者数は約61,000人でした。11月の平均の1日あたり新規感染者数は約147,000人、12月は約204,000人となり、大幅な増加傾向となっています。(CDC統計より)
その米国国内から旅行者を受け入れているにかかわらず、ハワイ州における新規感染者数に増加がみられないという事は、このハワイ州で実施されている「旅行前検査プログラム」が有効に機能していると考えられます。
しかしながら、2か月半という短い期間のデータであり、年明けからハワイ州の新規感染者数に増加の傾向もみられることから、今後もデータを注視していく必要があります。