【仕事を変える】IT業界から観光産業へ 業界特化型プラットフォーム構築を目指して-石原正人氏

  • 2020年12月21日
-それだけ充実していた仕事を辞め、TrustYouに転職したのは何故でしょうか

石原 一休在籍中は個人の仕事はほとんどやっておらず、またパラレルで働きたくなったということと、4年ほど同じ場所にて、他のキャリアを探したくなったというのが理由です。

 一休の社長がデータ分析を重視する方だった影響もあり、データ分析やビッグデータを提供するような事業に興味を持ち始めていました。次のキャリアを決める際に一番大切にしていたのもその点で、できれば観光領域で今風のスタートアップのような会社がいいなという希望に合ったのがTrustYou。クチコミを分析し、ツールとしてホテルなどに提供するビジネスを行う会社です。

 TrustYouでは営業に加えてデータ分析やシステム連携、パートナーとアライアンス形成などの仕事も手掛けました。今までのキャリアで培ってきたスキルが活きている実感もあり、幅広く、少人数で楽しく自由に働かせてもらいました。

 この頃にダブルワークも再開しました。新たに増えたのが電話でインタビューを受ける仕事です。企業が新分野で事業を始める際などに業界の「中の人」に話を聞きたい、というニーズを仲介するプラットフォームに登録していたのですが、1時間数万円になることもある割のいい仕事でした。幸いだったのが、宿泊業界の在庫流通の仕組みはクローズドで複雑なため、情報を持っている人がレアだったことです。依頼者にも喜んでもらえましたし、自分の経験が活きる喜びも感じられました。

 自身の観光産業へのロイヤリティも高まっていた時期で、TrustYouで働きながらもう少し活躍の場を広げて業界に貢献したいと考えていた時に、コロナがやってきました。

-コロナ禍を機に独立を決意されましたが、今後はどのような事業を考えているのでしょうか

石原 TrustYou時代から課題感として持っていたのが、観光産業の情報格差です。ここ1、2年で、観光領域、特にホテルなどをターゲットにデータ分析ツールの導入やデータ購入を促す企業が多数現れました。私もデータを提供する側としてゴリゴリ導入を進めてきた立場でしたが、導入したは良いけれど活用方法が分からず放置状態になっているケースもたびたび見てきました。

 コロナ禍を受け、宿泊業界の経営者の方はコストカットを迫られています。データ分析ツールなどは設備投資のようなもので、真っ先にカットの対象に挙げられます。ですが、そんな中でもツール導入を決めてくれたホテルもありました。そういったホテルは、経営者の方がデータ活用への興味・関心が高いか、社内にITの専門知識を持つ人材がいて導入を推進してくれるか、少なくともどちらかの要素を持っています。いわゆるDXを進められるのはそういった条件を備えた会社だと思いますが、宿泊業界ではごく稀です。

 今後は仲間を集い、こういった業界の課題を解決するプラットフォームの企画開発をしたいと考えています。