【ホテル座談会・後編】旅行会社とホテルの関係は?ウィズコロナのおもてなしとは?

GOTOトラベルは直販化のチャンス
コロナ対策とおもてなしの共存で差別化を

 コロナ禍での国内ホテルの現状や取り組みなどについて聞くオンライン座談会の後編では、ホテルと旅行会社の変わりゆく関係性や旅行需要の回復の見通し、感染予防で非接触が推奨されるなかでのホテルのサービスなどについてまとめた(前編はこちら。なお、座談会は11月13日に開催)。

オンライン座談会の様子。左上から西村氏、本間氏、小林氏、赤井氏
【参加者】
西村知哲氏 近鉄・都ホテルズ ホテル運営本部営業推進部主査
本間伶圭氏 ザ・ホテル青龍 京都清水 セールス&マーケティング部ディレクター
小林一裕氏 ファーストキャビン 御堂筋難波総支配人
【聞き手】
赤井亮太 エフネスインターナショナル(シンガポール)代表取締役、元エクスペディア西日本エリアマネージャー
-OTA出身の私としては、ホテルの直販化が進むなか、OTAやリアルエージェントとホテルの関係がどう変わっていくか気になるところです

都ホテル京都八条の外観 西村 旅行形態が団体からFITに変わってきていましたが、コロナ後はますますそうなるでしょう。約1000室の「都ホテル京都八条」は今はすべて個人予約になってしまい、1日700件のチェックイン・アウトに対応する日もあるほどです。

 今後はお客様がどのような動きをするかを見極めないといけません。OTA経由がさらに増えるのか、コロナ禍でのキャンセル対応が悪かったことからOTAではなくリアルエージェント経由になるのか、ニーズの変化を注視します。一方で自社サイト経由の予約も強化しています。

 我々のようなホテルチェーンの場合、自社のファンを増やしてお客様を囲い込むことが重要です。ロイヤルティプログラムなどのブランド力を高める取り組みに力を入れています。

ファーストキャビン御堂筋難波のウェブサイト(イメージ) 小林 自社サイトでメリットを打ち出せば、直販が増えてくるように感じています。お客様がGOTOトラベルキャンペーンをきっかけに各ホテルのウェブサイトを見る機会が増えてきたので、差別化するために自社サイトの強化が必要だと思います。

 とはいえ、必ずしもOTAの力が弱まるわけではないと思います。例えば一休のようにハイエンドの層をターゲットにするなど、各サイトの特色が今後強く出てくるのではないでしょうか。

The Hotel Seiryu Kyoto Kiyomizuのスイートルーム 本間 国内のOTAは1社のみ利用しています。客室数が48室のみなのでアロットが出ず、リアルエージェントとも数を限定して契約しています。今年はほとんどリアルエージェントが動いていないので、7割がOTA経由です。手数料は必要ですが、ターゲットを定めることで高単価な客室の販売ができており、認知度も高まっています。

 我々としては、ホテルのターゲットであるシニア層にアプローチしていくことが必要だと思っています。プリンスホテルと連携しつつ、ターゲットを絞ってセールスしていきたいです。